話のテンポがとてもよく、1万字あるはずが一気に読めてしまう程でした。無理矢理、納めてしまっているのではなく、スムーズなテンポにする事で、すぱっと読めてしまう作者の得意とする文体の賜であると感じます。
また態と漢字ではなくひらがなで書かれている言葉の配置が、何となく江戸川乱歩が戦前に出していた作品群を連想させられました。軽いミステリーに少年探偵団や明智小五郎のイメージが重なり、そこに加わるファンタジーのテイストが現代の感覚と合致し、温故知新という言葉が浮かびます。
短編でありながらも各所に引きがあり、連載の第一話を読んでいるような気になるのも特筆すべき点と思います。
身長150センチの小柄な私立探偵「神宮寺那由多」が、逃げ出した猫を探して欲しいという依頼を受ける事から話は始まります。
銀地に青龍の刺繍の入ったスカジャンや、甘いものが好きでカロリーの女王と言われる理由、仕事仲間の義眼の男など、さりげない伏線が短い8話の中で綺麗に回収されていて見事でした。
サクサクと進む展開に短編と言うこともあって、ラストまで一気に読み終えてしまいます。それが逆に勿体ないくらい、キャラや舞台設定がしっかりと立っていたので、続編を望む声が多いのも納得です! かくいう私も彼らの活躍をもっと見たい一人です!
求む! 続編!!