捨てられた子猫と〝雪迎え〟の小蜘蛛が出会って、この物語は始まります。〝雪迎え〟が来たということは雪がもうすぐ降るということです。野原の丘に捨てられた子猫は雪に対処できません。雪に埋もれてしまうでしょう。生命のタイムリミットが切られているのです。大変です。これからどうなるのでしょうか?童話らしい童話であり、読むと心が穏やかななります。どなた様にも勧められる良い物語です。どうぞ御一読ください。
この作者さんのお話はどれも情景描写や比喩などが魅力的ですが、本作は短編ということで、特にそのへんを味わいやすいかなと思いました。序盤の「ぽかぽかと鼻先にあたるお日様がくすぐったくて」や、「アーモンドのような茶色の瞳」、あるいは終盤の「お日様の欠片のような光」など、こうした描写のひとつひとつが、作品全体の温かいイメージを作り出すのに見事に貢献しています。「子猫」と「クモ」、それぞれの心模様が重なり、前に進んでいく姿には胸を打たれます。頭の中で情景を想像しながら、繰り返し読みたくなるお話です。
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