この作者さんのお話はどれも情景描写や比喩などが魅力的ですが、本作は短編ということで、特にそのへんを味わいやすいかなと思いました。序盤の「ぽかぽかと鼻先にあたるお日様がくすぐったくて」や、「アーモンドのような茶色の瞳」、あるいは終盤の「お日様の欠片のような光」など、こうした描写のひとつひとつが、作品全体の温かいイメージを作り出すのに見事に貢献しています。「子猫」と「クモ」、それぞれの心模様が重なり、前に進んでいく姿には胸を打たれます。頭の中で情景を想像しながら、繰り返し読みたくなるお話です。
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