愛と幻想

かつて吉原で花魁と遊ぶ時は、夫婦の真似事をすると何かで見た。何度かの逢瀬の後、床を共にする。花魁は高い教養を持ち、大名をも虜にした。フランスの高級娼婦も似た趣向だったはずだが、いずれにしろ人は性の営みに過度な期待を持っていたらしい。

ところで現在はどうだ。ブルセラ、JKビジネス、性は単なるパッケージングされた商品と化した。需要と供給という物差しは、性以外のものも私たちから奪ってはいないだろうか。

この作品の作者の生き方は危なっかしい。それでも惹きつけられるのは、世間のフィルターを通していない生の声だからだろうか。


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