3:幸せの青い鳥


「ピヨスケ!ピヨスケ!ギャッギャッギャッギャッギャッギャッ」


「ピィ!ピッピッピッピ!ギャッギャッギャッ」


 ルチノーのセキセイインコとピヨスケはケージ越しに激しく鳴きあってる。

 嘴をつつき合わせてなにかしてるけど、私も複数飼育をしてるわけじゃないから鳥同士の交流の正解がわからず、向き合って鳴いている二羽のインコを見る。


「佳織…これは…うちのレモンは仲良くやれてるの…?」


「私もわかんない…」


 春の日差しが窓から差し込んできて心地よい。

 今日は、広文がお迎えしたインコのレモンちゃんとピヨスケの初対面だった。


 この前「一緒に住むなら、インコ同士も仲良しになれたらいいね」なんて言われて思わずニヤニヤしてしまったのはいいけど、これはどうなるのか全然わからない。

 放鳥時間をずらせばいいだけなので、レモンとピヨスケが仲良しにならなくても時谷さんと同棲するのは問題ないんだけど…。


「嘴をぶつけてキスするのはあいさつだって!よかった」


 嬉しそうにスマホを見せてきた広文に抱きすくめられて、私は彼のスマホに目を落とす。

 あの時、頭に羽根をつけてくれてありがとねピヨスケ。


「やっぱり幸せの青い鳥だったね」


「そうだね。童話とは随分違うけど」


 笑いあいながら、私たちはお互いの額をくっつける。

 童話の世界みたいに私と広文の物語もこう終わらせるんだ。


 二人と二羽は、いつまでもいつまでも幸せに暮らしました…って。

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幸せの青い鳥 小紫-こむらさきー @violetsnake206

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