青年は幼き時に父と、そして今、年若き妹と家族になる。
『死の風』。
ひとつの村の命を一瞬にして奪い去った風が、唯一奪い損ねた命。
銀髪に青き眼。人とは違う容姿を持つ彼女が生き残ったことになにか意味はあるのか?
そして、彼らが生きる場所より南に遠く離れた地で、繰り広げられようとしている戦。
この戦に秘められた意思はなにか?
血の繋がらぬ兄妹は、周囲に起こる異変に抗いつつ、この戦に関わりをもつのか?
まるで詩吟を紡ぐかのような、表現で語られるこの物語は、いくつもの謎を内包しつつ、静かにだが確実に読者をその世界へと導いて行く。
ライトでポップなファンタジーはちょっと、と言う方にお薦めしたい良作。
是非御一読を。
読み始めた時、「水滸伝」を思い出した。
子供の頃に読んで、作者の名前は思い出せないけれど、ざくり、ざくりと噛み切るように短く、力強い文章には自分の文章も影響を受けた(とは言え、自分のはせいぜい隅を齧った程度のものだけれど)。
読み進める内に、全身の血が熱を帯びた。次第が沸騰して、最後は心臓がのたうち回る程に嫉妬した。
この物語は、ただ文章が上手いだけじゃない。ストーリーそのものが、面白い。「個人」と「軍(国)」の二つの軸が、「伝説」によって一つに寄り合わされていくのを追っていくのに、自分はとてもワクワクした。そう、年甲斐も無くワクワクしたのである。
そうだ、読書ってこんなに面白かったんだ。
この作品は思い出させてくれた。
この言い回しが通じるかは分からないが、今の物語業界についていけない人は、絶対に読んだ方がいい。て言うか、読め。以上。
いやぁ。しょぼんさんはおっさんなので、こういった本格派な物語は、懐かしさを感じつつも、非常に素敵だと思って読ませていただきました。
青の国と赤の国が並び立つ世界。
青の国に住むレオンは、とある村の様子を見にいった際、一人の記憶喪失の少女を助け出す。
少女にリオーネの名を与え、妹として共に暮らし始めた頃。
突如として動き出す、赤の国の侵攻。
そして、リオーネを狙うかのように現れし人外なる獣。
まるで何かを暗示させるかのように、風雲急を告げる中。
レオンは。レオンの父は。リオーネは。
それぞれ運命に揉まれるように。その波に揉まれていく。
……と、ちょっと作者様風にあらすじだててみましたが。(似てないしうまくない)
この作品は、作者様が大河ファンタジーと銘打つだけあり、重厚で本格派なスタイルの、戦記ものもあるファンタジー作品です。
レオンの父が巻き込まれていく戦記物らしい青の国と赤の国の戦。
レオンとリオーネが巻き込まれていく、ファンタジーらしい怪しき獣との死闘。
このふたつを同時に楽しめるというのも面白さのポイントですが、やはり見どころは、その硬派さ。
萌えとか、ラブコメとか、いわゆるバトル系ではないその物語は、本当に古き良きファンタジー小説のような重厚さを見せながら展開していきますが。
それを作者さんの表現力が、よりしっかりと世界に色をもたせているんですね。
勿論、世界に伝わる伝承。それぞれが巻き込まれた戦いの根底にある謎。
そういった要素もあり、この先どうなるかも目が離せない作品です。
ライトノベルとは異なる本格派。
ですが、そういうった重厚なる世界が好きなあなたに是非おすすめしたい作品です!!
繊細に描写されたファンタジー作品!
他のレビューでも書いてある通り、戦記物とされてますが、内容は言わずもかな、面白いです!
他のレビューとは違うスパイスという意味で、ちょっと違う内容で話していこうと思います!
物語のメインともいえるひょんなことから出会う銀色の少女が私の作品に出てくるキャラと一緒の姿で、とてもドキッとしながらも、やはり銀髪少女は最強ですし、可愛いんですよね!
そして、無口で何もわからないところから、やはり環境なのか、その成長過程も楽しめて、個人的にはとても大好物な描写が多かったように思えます!
とても丁寧に描かれていて、それでいて行間なども意識しているのか、とても読みやすいです!
是非、ご覧あれ!