神社の来客(この物語題名よく変わります)
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神社は住みか
わたしは、小さな神社で寝こけていた。綺麗に清掃のいきとどいた神社である。ただただ、ぼおっと見つめるのは、薄暗い天井。朝だというのに闇の中ように暗い、わたしはそれは外が雨のせいだろうと勝手に決めつけた。
雨音がぽたりぽたりと耳を侵食していく。
「おはようございます」
扉を全開にしているため、賽銭箱の方から雨に混じり声が聞こえた。
「梅雨ひどいですね」
「・・・・・?」
「おはようございます」
周りを見回すがわたし以外に挨拶をしている訳ではなさそうだ。
二度も挨拶を言われてしまっては、それにこのような体勢では失礼だろうと、上半身だけ起き上げる。
薄暗い中で顔を覗いた。少年というより青年に近いくらいの歳だろう。そんな彼と目があった。
「おはよう?」
つい疑問符がついてしまった。にこりと笑った彼は賽銭箱を見つめた。
「まあ、一応入れときますか」
彼は賽銭箱に光るものを入れた。ただ願うこともなく、拝むこともなく目をわたしに向ける。
「きれいなお姉さん?美和子さんですよね?あのいきなりで変だと思いますが1日師匠になってくれませんか?」
「え・・・」
「返事は?」
「ちょっと待って」
わたしは跳ね起きて彼を見てから、雰囲気だろうか何か同じ匂いがすることに気がついた。これは勘だけれど。
少年は続ける。
「幽霊のことについてお聞きしたいことがあります」
「ゆうれ、い?」
「ぼくも見えるんですよ」
わたしは、何か違和感があったが彼に何と返事をすればいいのか理解できなかった。
17歳の彼と出会った数時間の話である。
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