曰くつき神社

 何秒経っただろうか。静寂を壊したのは意外にもわたしだったりする。

「わたしに何を求めているのかわからないのだが」

「あなたは僕の通う高校で有名なひとですから?」

「有名ね、」

 自分の顔はひきつっていないだろうか。

「初めて探偵部を作り上げた張本人ではないですか?」

「・・・・・・黒歴史だ」

彼の真剣だった顔はいつの間にか消えていた。

「そして今僕も心霊に関わる事件を解決しています」

「で、わざわざわたしを探したの?家まで行って」

「まあ、そんな感じです。聞きたいことがあるんですが」

「なんだ」

「もうあなたははずなんです」

 わたしは何かをわかっている?

「いや、今の話だけではわからないよ」

 何かをわたしは誤魔化している?

「本当はもうあなたには幽霊が見えないのではないですか?」

 なんだ、そうかやっぱりそうか、そうか。

「ははは、わかっていてそれはないだろ」

 そう、わからないふりをしていた。だってわたしは、あのときのことをほとんど覚えてはいないのだから。

 わたしは語る。

「そうあの日わたしはこの神社でたぶん死んでしまったのだと思うよ」

 わたしは賽銭箱に行儀悪く座った。


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