大凶の犠牲

「大凶ね」

 普通は、おみくじなんて引いたくじを見て最悪なら努力するためのお守りだと自分では思っていた。かってながらにも。

「あなたは、知っていると思いますが、この町のどれかの大凶を引くと本人に災いをもたらす、普通はただのおみくじのようなくじ箱がこの町のどこかの神社にあったそうです」

「都市伝説みたいなものだけどね、でももう置かれていないだろう」

「その通りです」

「それでその仏と関係すると?でわたしと何が繋がるか聞いていたいかな今は」

「くじ箱を引こうとしたと言うより調べようとしていたらしいです、でもその人はそこからの記憶がない、それに妙なんですよ」

「妙とは?」

「今まで大凶を人に話を聞いてきました。しかしその人だけだったんです」

 彼は真剣と言うには眉に力が入っている。まるでわたしを睨み付けているような表情だ。といってもわたしは、なぜか嬉しいのだ。

 彼はこう口にした。

「死んでしまったのはその人だけなんです」

 彼はわたしから目線を外して雨をただ見つめているようだった。

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