真の敵は産まれた時から自分の顔面にいる。そいつと戦い続ける勇者。

田中でも佐々木でも西野でも渡辺でもそうだが、主人公達の共通点は不細工である事である。
それ故の生きにくさ、差別をきちんと受けている事。
まるで「不細工とはかくも生きにくいものなのか」と問われ続けているようだ。
真の敵は魔王でも世界でもない。そいつは産まれたときから自分の顔面に載っている。それと戦い続ける勇者。
何れもファンタジーとか、突然の異世界とか、そういう物語上の障害と、全く関係ないところですでに勝手に人生ハードモードを送ってきているのだ。
つまり、容姿による差別という世間の逆風について四者四用に付き合ってきたバックボーンを持ってきている。
その上で、見事に四者ともそのキャラの書き分けが出来ている。
どんだけその棚引き出しが多いんだ、と思わざるを得ない。
が、しかし、お気づきだろうか?そんな主人公達に、四者四用、タイプが違うはずの主人公達に、読者は何故か奇妙な共感を感じているのだ。
読者達は四者四用どころではない。千差万別であるはずにも関わらず、だ。
それが何を意味するか?
それは、読者の心の中にもいるのだ。
田中が、西野が、渡辺が佐々木が。
こんなにも個性的な連中でありながら。普通なのだ。
庶民的、いや特定の容姿に恵まれない、容姿で得という物をしたことがない全ての者達の、代表なのだ。
俺達と同じ思いを味わってきた、まさに読んで字のごとく、「同志」なのだ。
だから、金髪ロリ文庫の主人公達にに自分を重ねてしまう。面白く感じてしまう。
だからもしかしたら、恵まれた人たち、所謂リア充という層には金髪ロリ文庫の小説は受けが悪いのかもしれない。
だがそれでいい。それが俺にはたまらなく好ましい。もっとやれ。

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