君の言葉で「私」を教えて

サカヤン(sakayan)

第1話 99%の私を失って1%の彼が残った old8

うっすらと目をあけた。

いきがくるしい。

手も足もうごかない。

ゆび先までもピクりともうごかない。

まるで自分の体が石になったよう。

頭はうごく。ほんのちょっぴりだけど。もんだいない今はじょうほうがほしい。

目はまだ明るさになれてない。光が頭のおくにささる。

いたい、いたい。

だんだんなれてきてじょうほうをひろえるようになってきた。

だれかがすばやくわたしに近づいてきた。

ギュッと手をにぎってくれた。

あたたかい。とてもあたたかい。

わたしはその手をもてる力でにぎりかえした。

その人はそれに合わせるように、さっきよりつよくにぎりかえしてくれた。

何やらわたしにしゃべりかけているように見える。

耳は・・・大じょうぶ聞こえる。

耳をすましてみる。

びみょうだが音はひろえた。

「大丈夫か?れん?」

何かしゃべりたかったけど・・・。むりだ。

わたしのじょうたいを気にかけてかその人は言った

「無理するな。瞬きだけでいい」

わたしはその言ばにあまえ、わたしのもてる力で一回まばたきした。

その人は目になみだをにじませ、またつよくにぎりかえした。

いたいよ。

そうつたえるようににぎりかえし、ほんの少しこうかくを上げてわらった。

その人はまたわたしにたずねる。

「俺が分かるか。れん?」

?何を言ってるんだろう。分かるにきまってる。というかはじめから分かってた。

かれは

籐也だ。

わたしの中にはかくしんがあった。

籐也。籐也。籐也

それをつたえるように、わたしはまばたきした。

かれはあんどのひょうじょうをうかべ。

「よかった。」






あれ?

よくない。

ちっともよくない。

いや籐也が分かるのがよくないんじゃない。

れん?

れん?

さっきから籐也が言ってる。れんって?

何かとんでもないことを見おとしてる気が・・・・

わたしは気づいた。

気づいてしまった。なんてこと・・・だ。

こきゅうがあらくなる。

「れん?どうした?俺はここにいる大丈夫、そばにいるぞ。」

籐也がしんぱいそうに見てる。わたしをはげましてくれてる。

でもだめだ一回気づいてしまってはだめだ。

一気にがけがくずれおちるように何もかもがこわれていった。

まわりのきかいがやかましく音をならす。

籐也がわたしの為にナースをよんできてくれた。

でも、そんなのかんけいない。

そんなことでかいけつできることじゃない。

わたしは・・・・

わたしは・・・

・・・・・

わたしのなまえは?

わたしは何でここにいる?

何でここでねている?

あれっ?

あれ?

ここに来る直前までわたしは何をやってたの?

その前は?

学校は?

友だちは?

家ぞくは?


こんなことなら気づきたくなかった。

いや、おそかれ早かれ気づいただろう。

わたしは、

何もかもうしなってしまった。

わたしが今わかるのは。

籐也だけだ。

でも、籐也も・・・・わたしにとってのだれ?

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君の言葉で「私」を教えて サカヤン(sakayan) @sakayan4DX

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