人類を含む全ての『生き物』が消失した世界。
感情人形《フィーリング・ドール》と呼ばれる、感情を持った人形だけが意識を保っていた。
世界が終わってしまった。しかし人形はその終わりの中でひとり、想う。
名前をつけたくれた少女との思い出だけが、変わらない静寂の中を巡る。
そんな中、久しぶりに声が響く。
それは、話すだけでなく、動くことができる、まるで人間のような感情人形の三姉妹だった。
同じ仲間を探しに、一緒に行こうと誘われるソフィアだったが、彼女が選んだ道とは・・・・。
終わってしまった寂しい世界を、人形たちが旅をしている。そんな、不思議な世界観がたまらなく愛しかったです。
読み終わったあとに残る、切なさとほんの少しの希望が、この作品の魅力に思えます。
ぜひとも読んでいただきたい、オススメの作品です!
3人の主役のフィーリングドールはこれからの物語でリドルエンドとして、そしてソフィアという和名とかけ離れたギリシャ語源の女性英語名詞の1人の主役。ちぐはぐになるかと思いきや、彼女の意思尊重が物語の大きなターニングポイントとなるような構造で、ソフィアという叡智が長い歳月考えた結果、日本人形として日本の文化の様な潔さでいわば自害することになるが、コレは有機物無機物だろうと意思を持つ存在は生きていると言える説得力が有りました。ソレを看取った3人の主役たちはこれからどうやって終末世界を生きていくのか想像するのが楽しいと思える作品でした。