まんじゅうブルー
余記
その獣
その獣は飢えていた。
そして、
なぜなら、何を食べても満足しなかったからだ。
獣の目から見える世界は、我々からすると奇妙に見えるかもしれない。
なぜなら、全てがエサに見えるからだ。
目の前に広がる、暗く、何もない空間。
それ以外は、全てエサ。
そんな、世界に生きている。
例えるならば、昔のビデオゲームに似ているかもしれない。
目の前にあるドットと、それを食べ続けるキャラクター。
奇しくも、獣の目から見えるエサは、ドットのようにも見えた。
大抵の場合は、茶色く丸い・・・丁度、茶色い皮の温泉まんじゅうのような感じだろうか?
時々目にする、赤く大きなまんじゅうは、熱く、刺激的な味がする気がした。
白いまんじゅうは、ものすごく熱いので、流石の獣も避けて通る事にした。
もう少し、冷ましてから食べるのが良いのかもしれない。
獣には、朝も夜も無い。
起きた時が朝で、その後に食べたものが朝食だ。
と、言っても、食べ続けている場合は、全て朝食になるのだろうか?
疑問は尽きないが、かと言って、考え込むような頭脳は獣には無かった。
食べては寝る。
寝ては起きる。
起きては食べる。
ただただ、その繰り返し。
それだけが、獣の生活だったのだ。
そんな獣が、ある日見つけたのが、青いまんじゅうだった。
獣の記憶によれば、青っぽいまんじゅうは何回か見かけた。
それは、白いヤツと同じで、食べるには熱過ぎる。
だが、この、青いまんじゅうは食べるのに適度な熱さだった。
何を食べても満足できなかった獣は、考える。
初めてみる、青いまんじゅう。
どのような味なのだろうか?
獣の心にも好奇心は尽きない。
だから、獣は、そのまんじゅうを食べた。
まんじゅうブルー 余記 @yookee
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