第59話 ょぅι゛ょとシンナー
ホッピーとか色々のようなものリバース事件から数日後。
エスカランティスの廃墟店舗の改築から何やらが細々と進んできている前で、アリスは腕を組みながら何やらむずかしいかおをしていた。
「わるいことがしたい」
小さい独り言のようなアリス幼女の不穏な言葉に、汗だくになりながらハンマーで釘を叩いていたヴ・カチャーと、天井の梁の上で左官をしていたラマー、電動ハンマードリルで壁を粉砕していたジョルジュ、見事なほどなめらかに動くゲーミングパソコン(ファンの回転数で光度が変わるイルミネーションライトマウス付)で建築ゲームをしているデイメアマアが一斉に振り向いた。
「悪いこと?」
興味深そうな目でカチャーがアリスの方を向き、その背景でジョルジュが勢いよくハンマードリルで壁を打ち抜いた。
「そう、わるいこと」
「具体的には?」
ジョルジュが打ち抜いた壁には古い石綿が大量に敷き詰められており、建築基準法で定められている以上の埃が辺り一面に広がった!
「銀行強盗とか」
「ああ、まあ、いつかやりたいよな。だが人手が足りないだろ」
「人手は足りてるだろ。あとはやるかやらないかだ」
アリスとジョルジュが話し合っている向こう側で、左官をしているラマーが壁の塗布剤に規定の倍以上のシンナー液を入れて不当に薄めていた。
「やりたきゃやればいいさ。あたしはしないよ、一族の安全が一番なんでね」
「フン! そうやっていつまでも、自分さえ無事でいれば仲間を裏切ってもいいって思ってるのか?」
「自分が成り上がるためなら他人を傷つけてもいいなんて思ってるやつに言われても心に響かねえな」
「ああそうかい! んじゃ何か、これから先もそこらへんにうじゃうじゃいるクソ転生者共に好き放題利用されて、そのケツの毛もむしり取られても屁でも無いって言い続けながらどん底ビンボー生活を続けてもいいってのかよ、あ!?」
「そんな毛生えてない!!」
「じゃあ眉毛!!!!」
「痛いだけじゃねーか!」
「じゃあどこの毛がいいんだ?」
「どこのって……」
「ここか。あ?」
アリスは言うと、カチャーの足元から下腹部に向かって指を<以下自主規制>壁の裏でジョルジュが顔を赤らめ鼻の穴をフンフン言わせながら二人のやり取りをガン見していた。
「おまえの思いつく悪いことなんて、どうせかわいらしくてちっさいことで、ちょこちょこーっとなんかやってそれで終わるんだろ?」
カチャーが手のひらをひらひらさせながらアリスを挑発した。
それを見て、アリスの黒い目玉がカチャーの顔をギロリと睨む。
だがカチャーの挑発は止まらない。
「次はどこのケーキ屋さんに忍び込むんだ? 可愛らしく着飾って、なんならうさちゃん耳でもくっつけて正面玄関から入っていって、ケーキくださいって言って店員にケーキをぶつけるくらいの悪さしかする気ないだろ?」
「何もする気のないオマエに言われたくないね!」
言い合いをしている二人の幼女を天井の梁の上で違法に揮発性物質を過剰希釈していたラマーが、唉ァとため息をつき今朝食べたニンニクの芽の油炒めくさい臭いを周囲に漂わせるとさっそうと飛び上がり、地上で言い合いをしている幼女と幼女の間に飛び降りた!
「
中国語で何か言いかけた途端に、真上から空になったシンナーの一斗缶が落ちてきてラマーの頭の上にスポッ!! とかぶさる!!!
「〜〜〜〜〜ッ!?!?!?」
突然のシンナー缶とシンナー臭に鼻と頭をやられたラマーは、中国? 語とも日本? 語とも言えない奇怪なうめき声を上げながらその場で倒れ込んでしまった。
それを見ていた言い合い幼女の片割れ……ではなくアリスは、なにか悪いことを思いついたように無表情でボソリと言うのだった。
「強盗をしよう」
「!? ど、どうやって? いやどこを?」
「ガス。宝石店」
アリスが視線を上に向けると、かすむ中心街の構想オフィスビル街を見た。
けもみみ強盗大作戦 ようじょ5(けもみみごうとうだいさくせん ようじょふぁいぶ) 名無しの群衆の一人 @qb001
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