エピローグ

 ある朝、出勤するとボクたちが大好きだったにこにこマートは消えていました。サワタリ店長もタカハシさんも忽然と姿を消して居なくなってしまったんです。みんな大慌てであちこち一生懸命探しました。みんなで手分けして旅に出て、魔王さまにも力を借り、ありとあらゆるところを探しました。けれどもこの世界のどこにも見つからず、途方に暮れてみんなで泣きました。


 諦めてマヌールの村で腐っていたボクたちを奮い立たせてくれたのはガイさんでした。自身が店長になり、にこにこマートをもう一度作ると力強く宣言したのです。働いていた多くの元従業員たちは賛同して彼の元に集いました。草原に木を運び、みんなで小さなお店を作りました。元のにこにこマートの半分の大きさも無いけれどボクたちの大切なお店です。


「ドルイドさん、計算が間違ってますよ」

「少しくらい良いじゃないですか」

「ダメです! お客さまにちゃんとお釣りをお返ししてください」


「ちぇっ! サワタリ店長ならそんなこと言わないのに」

「ん? 何か仰いましたか」


 ガイさんは少し厳しいけれど頼りになるしっかり者の店長です。そしてボクはそんな彼の元でバイヤーとして働いています。商品を仕入れる時に考えるのはお客さまのこと。どんな商品を望んでいて、誰が買ってくれるのか。サワタリ店長に教えてもらった大切なことです。


 リズさんは店が無くなり実家のパン屋を継ぎました。変身したゴーストくんが毎朝仕入れに行ってくれています。特に人気なのがカリカリフワフワの食パンとメロンパン、勿論魔王さまとのコラボしたカレーパンの人気も根強いです。


 お惣菜を作るアリくんは、ボクをスライムさんと読んで敬ってくれる唯一のモンスターです。随分と腕を上げ、今は新味開発に余念がありません。


 にこにこマートは少しずつだけれど確実に成長しています。いずれは元のにこにこマートに届くくらいの素敵なお店になれば良いなと思っています。


 勿論、楽しいことばかりじゃありません。忙しい日々に追われ、辛くなる時もあります。そんな時、ボクはそっと思い出すのです。懸命に働いていたお2人のことを。すると負けてはいけないぞと言う気持ちになってそっと勇気が湧いてくるのです。 



――スライムくん、商売するのに必要なのは真心と少しの勇気だよ



 サワタリ店長の言葉はいつもくじけそうなボクを支えてくれます。

 

 ボクはにこにこマートが大好きです。


<完>

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

にこにこマートは転移しました 奥森 ゆうや @whiterabbits

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画