第15話
夏季学校4日目。最後の日だ。今日はバスに乗って帰るだけになっている。遠いから、結構かかる。その間、りょうたとずっと隣ってことになる。気まずい、、、そう思った私は、憂鬱だった。
でも、ついにバスに乗る時間が来てしまう。
私は一層テンションが下がり、寂しくバス席に着いた。りょうたも黙って席に着く。キスされたのは、昨日のことで私は何もなかったことになんてできなかった。
バスの中で先生たちがDVDで映画を流してくれることになった。私は話していなくても関係ない状況になったことを感謝して映画に集中しようとする。
そんな時、
「ごめんな。ちょっと山里と話して。山里に真里がちゃんと分かってないって言われて、それでオレもやっとどうすればいいかわかったんだ。オレ全然気づいてなくて、、、」
いきなりりょうたが話しかけてきた。へ?どういうこと?気まずいとか言ってたのはすぐ吹っ飛んで、疑問でいっぱいになる。
「どう言うこと??」
いずはりょうたと相談したんだろう。応援っていうのはそれだったのか。それより、りょうたは何をするつもりなんだろう。
「あのさ、俺の話聞いてくれる?」
珍しく弱気なりょうた。私はコクンと頷いた。
「結論から言うと、、、オレは、真里のこと好きだよ」
はい?訳わかんない。この期に及んで社交辞令??いらないそういうの。私はイライラを顔に出してしまう。
「イライラしないでくれよ。本気だから。真里は、俺のこと怒ってるみたいだしもう想いを返してくれなくてもいいから」
イライラするな?本気?想いを返す?は??なに言ってるのこの人。
「だからこうやって。真里が誤解するのが悲しい」
りょうたは、私を直視する。かっこよすぎて私はこんな時なのにドキドキしてしまう。最後までなんなの??
「真里。ちゃんとこっち見ろ」
りょうたが優しく言う。恥ずかしくて顔を背けていた私は、しょうがないのでゆっくりとりょうたを見る。りょうたは、、、今まで見たことないほんとに優しい顔をしていた。ね、私にその笑顔を見る資格は無いよね?そんな卑屈な考えを退けてしまう笑顔。りょうたは本当に天然トラップ。
「真里、、、好き」
「ッ嘘だ」
りょうたは、私を何だと思ってるの?そんな声で告白なんかして。私、本当に心臓発作で倒れそう、、、
「嘘に見える??これ、全力の告白なんだけど」
「、、、見え、ない」
りょうたは少し恥ずかしそう。
「俺、お前の気持ちがよくわかんなくて悩んで熱だして、お見舞いに来てくれた時も好き過ぎて我慢出来なくて適当に喚いてた。キスも、なかなか俺の気持ち分かってくれない真里に分からせようと思って。でも全然分かってなくて怖くて逃げてた。ごめんな」
私の心が揺れた。それはほんと??信じたい、、、そんな気持ちが私を支配する。
「真里はオレのこともう嫌いになった?」
「なる訳ないじゃん、、、」
私はさっきまでのイライラとか気まずさとかが消えているのを感じた。私は、誤解してたんだ。りょうたはただ私のことが好きで、、、そう考えると、嬉しくなってくる。
「好きだよ、、、真里は?」
りょうたはずるい。そんな聞き方されたら、私も伝えたくなっちゃうじゃん。私は好きが溢れるのを感じる。
「私も、、、りょうたのこと好き」
私の告白。りょうたは軽く目を伏せた。私は少し心配になる。でも。次の瞬間、私の心配は溶けて無くなった。りょうたが、満面の笑みを浮かべていたから。
「ありがとう、、、やっと想いが通じた」
りょうたは、本当に嬉しそう。私でいいの?そう思うけど、きっと今これを言うのは反則だよね。
「ふふっ、、、これからも、もちろん大好きで居続けるよ」
りょうたが笑った。
「ありがと、、、大好き、りょうた」
私は、微笑んで言った。りょうたが私を抱きしめる。驚いてりょうたを見ると、シートベルトを外していた。私にいきなり抱きつくりょうたが愛しくて、にやにやというか笑いが止まらない。
「、、、」
りょうたは私を見つめてくる。りょうたは眩しい笑顔だ。りょうたがゆっくりと近づいてくる。私は悟ってドキドキする。この前とは違い、ゆっくりと優しく私に触れるりょうた。頭を支える手が少し震えていて、緊張感が伝わってくる。
私とりょうたの唇は重なり、私は幸せに包まれた。キスって、凄く幸せなものなんだね。私はぼうっとした頭で考えた。この瞬間は、どんなに場違いな映画が流れていようと、私たち二人しか存在していないような、そんな錯覚に包まれるほど幸せに満ち溢れた空間だった。
ドキドキの毎日ー自信持って良いの?ー 青野ハル @honohono
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