男の生き様とは、死に様の華

濃密な筆致で描かれた重厚なバトルアクションです。

序盤のグイグイひきこむ展開の速さ。深まる謎。つかみもバッチリ。

ホラージャンルになってますが、オカルト要素は謎の生物だけなので、ホラーが苦手な人でも大丈夫。むしろ、ミリオタとか、アクション物が好きな人に読んでほしい。

物語は護送の途中で森のなかに閉じこめられた警官、犯罪者、取り残された一般人を中心に進んでいくのだが、単純に人間対UMAという図式ではなく、そこに警官や犯罪者たちを襲う謎の武装集団をぶつけたことで、いっきに複雑になり、厚みのある作品となっている。

人間対人間、人間対UMA、三つの勢力がからみあいながら、激しいバトルをくりかえす。

そして何より、男たちの生き様がカッコイイ!

大勢の登場人物がいて、それぞれに深い事情があり、なかにはツライ過去を抱えている人たちも。

その人たちが、いかに自身の過去と向きあい、誇り高く死すか。
読みながら何度も胸が熱くなりました。

もちろん、なかには卑劣な人間もいるわけですが、一概に犯罪者だから悪、警官だから善という作りではないのが、より作品に深味を与えています。
これだけの人数の描きわけは、作者さまの技量の高さですね。
最後にはあのMでさえ、ちょっと可愛く思えたり……。

とにかく、映画のような一作。
かっこいいバトルてんこ盛りですよ!

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