白魔女スーリとコミュ強王子

作者 西フロイデ

76

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★★★ Excellent!!!

『君が彼を愛しているからだ、友よ』などとイケメンな台詞でヒロインの背中を押すダンディなモブは、なんとガチョウ?!

真っ黒なスチールのストーブの上、大鍋いっぱいのコケモモのジャムをかき混ぜていそうな森の魔女、もとい薬草医の元に、足取り軽く訪れる王子。
これだけでワクワクする出だしだけれど、うさんくさい魔女に絡まれたり、賢い女性の会に勧誘されたり、王子に誘惑されたりしているうちに、大きな陰謀に巻き込まれて……

伝統的なファンタジーでありつつ、派手なアクション、ハートウォームなラブに驚きの黒幕まで。
本好きが愛するネタがぎゅぎゅっと詰め込まれた、大満足の作品です。

★★★ Excellent!!!

森の中の一軒家にひっそり住む薬草医のスーリ。
彼女は「いつも」と同じが好きで極度の引きこもり。基本外に出ない。

そうそう、私もそうなんです。お外が苦手でいつもと同じが好き。昨日と今日が同じような展開だと安心する。変化がこよなく嫌い。環境が変わったりすると体調を崩すタイプです。旅行先ではお気に入りのジャージを着ないと眠れません。

……と思いっきり主人公に感情移入する冒頭にやられてしまいました。
たぶん私と同じようにお外が苦手でいつもと同じが好きな人はスーリの言動にいちいちウンウン頷いちゃうと思います。

しかし、どうやら以前の生活は苦労の連続で、ようやく森のなかに引っ越し、理想の穏やかな生活を送ってきた彼女に嵐が訪れます。
この国の第三王子のジェイデン。
彼はおしゃべりが好き。人と関わるのが何より好きで、休日には予定を入れないと落ち着かないタイプ。むしろベッドに縛られていると精神的に瀕死になってしまうような人です。

うんうん、そういう人いるよね。どこまで無限のエネルギーがあるんだろ……という人。これは我が父方の祖母がそのタイプです。もう亡くなってしまいましたが、おばあちゃんとジェイデン似すぎ……と思いました。おばあちゃんは1日に地区中の女性陣数十名と喋り倒し、夕飯作るのを忘れてしまいました。その日の晩は父と伯母が道端で捕まえてきたイナゴを煮付けて白米によそったとか(昭和……)。でもまったく憎めないとっても素敵な人でした。

と、ここで振り返ってみて、作者の人間観察力にぞーっと震え上がるのです。
スーリのような人はどこかにいるし、ジェイデンのような人はどこかにいる。
この二人は最初全くもって価値観が合わず、ちょっとした言い合いも頻繁にあります。それがリアルなのです。
でも、お互い、どこかで運命のように惹かれ合っているし、対話を重ねて理解していきます。最後のあたりなどはち… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

まず、グリム童話が好きな人、日常系ファンタジーが好きな人、可愛いペットが好きな人には、ぜひ読んでもらいたい。

と言えば、なんとなくふんいき伝わるでしょうか?
そう! そんな感じ。

ほのぼのした世界で起こる、あれこれの事件をとにかく魔女と間違われる薬草医のスーリと、コミュ力強すぎる王子様が解決していく連作短編集。

あっ、でもね。ほのぼのだけでもなさそうなんですよね。この二人は何やらとんでもない秘密をかかえてそう。
そこらへんも楽しみな今後の展開。二人のじれじれな恋はどうなるのか?

あとですね。この作者さまはたいへん文章力高いんですよ。とくに語彙力は天下一品ですので、そんな作者さまが、あえてコミカルに描く文体を、ときにクスクス笑いつつ、ぜひぜひ堪能してもらいたい。

またまた楽しみなシリーズが一つ増えました。

★★★ Excellent!!!

白魔女スーリもとコミュ強王子、どっちが好きと聞かれたら、一生答えられそうにありません。どちらも、本当に魅力的です。夫婦漫才のようなやりとりを読んでいると、幸せな気持ちになります。

すばらしい文章力で、努力しなくても頭に染み込むように文章が理解できるうえ、巧みな構成と展開でグイグイ引き込まれるので、一気読み間違いなしです。