黄色い飛行機乗りの少年

雨世界

1 おーい。なに見てるの?

 黄色い飛行機乗りの少年


 トワ  黄色い飛行機乗りの少年


 ハラ  飛行機の機械技師の少女 トワの相棒


 本編


 おーい。なに見てるの?


 トワは幼いころから飛行機乗りに憧れていた。

 自分だけの飛行機に乗って、空を自由に飛んで生活することに憧れていたのだ。その夢を叶えるために、トワは飛行機乗りの勉強ができる飛行訓練学校に入学して、優秀な成績をとって、その学校を卒業することができた。

 トワは飛行機乗りの正式な資格をとり、地元にある飛行機乗りの組合に加入して、小さな個人経営をしている、両親のいない孤児のトワが幼いころからお世話になっていた近所のカールおじさんの飛行機乗りの会社に入社をした。

 カールおじさんが経営するカール飛行機会社はとても小さな会社で、飛行機乗りのメルーと社長のカールおじさんのほかには、ハラという名前の飛行機の機械技師のトワと同い年の孤児の少女が一人いるだけだった。

 トワが飛行訓練学校を卒業して、カールおじさんの飛行機会社に入社したのが、西暦『2101』年であり、その年、トワは十六歳だった。

 それから二年、トワはお客さんを乗せて、空の旅をしたり、お客さんを目的の場所や街まで届けたり、軽い荷物や手紙のようなものを運搬したりして、すごく優秀な成績(お客さんの評判がとてもいい。荷物や手紙、飛行機を大切に扱うなど)を収めて、飛行機乗りの組合から表彰やメダルをもらったりした。

 仕事仲間のハラとは、喧嘩も結構したけど、なんだかんだ言って、仲良くなれたし、トワの飛行機乗りとしての人生はとても順調なものだった。

 そんなトワの飛行機乗りとしての人生が、大変困難な人生に変化したのは、西暦『2103』年の、トワが十八歳になった年のことだった。 

 ……その年に、戦争が始まったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黄色い飛行機乗りの少年 雨世界 @amesekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ