第3話 アリサ! 十三歳の軌跡~誰も知らない~
「なったね、蝶に」
「ハイ! 六華師匠」
思えば長かった。周囲に理解されない日々が。だけど今は。
「わいてくる、わいてくる。新たな意欲とアイデアが、たくさん!」
一時はひどいいじめに遭い、心を閉ざしたアリサだったが、漫画の道を志してから変わった。
滅びればいいと願った世界を自ら壊すディストピア――死んだ者が蘇るゾンビもの――幼い子供が大活躍する活劇ヒーローもの――夢と冒険のファンタジー! ――ちょっぴり危険な甘いキス(はぁと)トキメキの吸血鬼ロマンスなどなど。
読めば読むほど、勉強すればするほど、奥が深い。
「やる! やる! あたしはやるゾォ!」
過去のことなんてどーでもいい。
創ることは快感だ。悦楽だ。
中学をリタイアしたいとも思っていたが、逆に学校での体験がネタになると知ってからは景色が違って見えた。
漫画を描くのは夢のある仕事。やりがいのある仕事なのだ!
漫画はそして、建築に似ている。
媒体を考え、大きさを決め、箱を考え、設計図を引く。
あらゆる角度から見て、美しく仕上がるように、下調べをする。
青写真ができて、いよいよ着工。
土台を作り、柱を立て、垂木を組んで、階段、壁、床などなどに使用する素材から何まで吟味するところから、予算を考え、組み立てていく。
漫画はまた、料理にも似ている。
素材と具材をそろえて、下ごしらえをし、調理していく。
漫画はたとえられないものがないというくらい、物事の本質をみる仕事だ。
絵を描く者は万巻の書物に通じていなければならない、とレオナルドダヴィンチも言ったそうだ。
その中に役に立たないものは何もない。
人生で、生きてきて、役に立たないものも何もない。
そんな仕事だ。
言ってみれば、総合芸術と変わらない。
アシスタントの分業化もすすんでいるし、その手のプロフェッショナルもいる。
しかし、自分は、自作品の総合監督になりたい、とアリサは思っている。
なってやるぞと。
ならいでか、と。
そして新たな自分に、なってみせるのだ――。
たとえ、何かを犠牲にしても(ボソ)。
「アリサ姉さん!? うらみますよっ」
「結婚して下さーい!」
「いやぁぁ!」
END
イッツァ・エンタテイメンツ!! れなれな(水木レナ) @rena-rena
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