後書き
― 西暦2020年5月17日
― 秘密の出入口などない合間家の寝室
「ポワリエ侯爵家のお家騒動 王国物語スピンオフ5」を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この作品は最初にも注意書きを付けましたが、今までのシリーズ作とはまた少し趣が違って、序話からかなり突っ走ってしまいました。この作品を連載し始めるにあたっては私も少し心配だったのです。それでも読み続けて下さった読者の方々には感謝の言葉もございません。
応援、フォロー、レビュー、コメント下さった方々にも、感謝の気持ちでいっぱいです。ご意見ご感想、真摯に受け止めております。皆さまの評価、反応がとても励みになります。
前々作「溺愛警報発令中!」で強烈なデビューを果たしたベンジャミンさん、この人あまりにも面白いのでここ一回限りの出演では勿体ないなという思いがあったのですね。同じく「溺愛」でカトリーヌとティエリーの結婚式の付添人を務めたのはソニアでした。彼女のお相手は誰なのだろうという疑問が自然と湧いてきます。
以前から偽装結婚で三角関係のネタは頭の中にありました。そこでこれをソニアとベンジャミンに演じさせてみることにしました。そして三人目の主人公としてルイが誕生したのです。
前作「愛は囁かずとも炎は燃え尽きぬ」ではナタニエル君を急遽南部テリオー領に派遣させるための都合の良い理由が必要でした。ということで、ソニアを丁度遠征直前に妊娠させて……というシナリオを思い付いたわけです。我ながら「溺愛」「愛の炎」「お家騒動」の三つの物語が上手く絡み合って満足しきりです。
シリーズ作を書き進めていくと、あのキャラもこのキャラももっと活躍させたいとか、この主人公のその後を書いてみたいとか、私の思い入れが沢山あります。色々とアイデアが膨らんで、あちらもこちらもという感じにスピンオフがが派生して王国シリーズは大ファミリーになってしまいました。
さて、物語はルイと彼の若主人であるベンジャミンの絡みが序話を飾ります。その後第一話からはソニア側から話が進むため、ルイは本名を名乗らず仮名アレクサンドルとして登場し、しばらくの間は仮名のままでした。読者の方々には既にお分かりだったでしょうが、ルイがやっと正体を現して名乗ったのが第九話でした。ですから主要登場人物紹介は第九話の後に挿入しました。「忍び愛づる姫君」の第十一話でやっと本名を告げたダンジュ君と同じく遅咲き?の男主人公となりました。
ここでふとシリーズ作を振り返ってみて、実は「奥様は変幻自在」のジェレミーも初名乗りは第五話と少々遅めだということに気付きました。これは私がアナの相手が誰かということを少し出しおしみしてみたかっただけなのです。それまではあの近衛騎士の方とか彼という表現でした。
私は主人公たちの名前を考えるのにも時々苦労します。特にこの作品は親子関係が複雑な上に子供達の名前にはそれぞれの思い入れを込めるため、全ての登場人物の名前が決定するまでかなりの時間を要しました。ダニエル、アレックス等の男女共に使える名前は便利で私も時々使いたいのですが数が限られています。特に長男ルイ=ダニエル君は名前を二つ繋げて片仮名表記で長くなりすぎず、しかも日本語で発音しにくいもの、響きが良くないものは避けたかったのです。
それは「奥様」の主人公アナ=ニコルも同様でした。両性に使える愛称でニッキーと呼ばせ、それからもう一つの名前アナと付けて……最初に思い付いた名前で小説を書き進めてそれから途中で名前を変更するのが一番大変です。今までにこの改名作業を私は何度もやっているのですが、どんなに気を付けていても絶対見落としがあるのですよね。
名前と言えばベンジャミンが旅行中、ルイがソニアを呼び出してと密会する為の連れ込み宿を取った名前はガルノーでした。ル〇ガル〇ーと言えば某スポーツブランドで私も愛用しております。彼の本名も最初はガルノーにしようと思ったのですが、やはりためらわれて結局却下、仮名で一度使っただけでした。細かいどうでもいいことをすみません。
前々作「溺愛」から出演していたソニアとベンジャミンですが、ルイは前作「愛の炎」でほんの一瞬だけ名無しのまま初登場を飾りました。同時にソニアと赤ちゃんルイ=ダニエル君も友情特別出演しておりました。ソニアの代理で南部遠征したナタニエル君が婚約者エマを連れてポワリエ家の屋敷を訪れた場面ですね。
その時点ではソニアの結婚相手がベンジャミンということを読者の皆さまに公表したくありませんでした。ですからベンジャミンは丁度留守中だったのですね。しかも養子縁組してポワリエ家に入っていますから、結婚してソニア・ポワリエと名乗っている彼女の旦那さまがあのベンジャミン・モルターニュだとはどなたも予想されなかったことでしょう。
最初は「モルターニュ侯爵家のお家騒動」と考えていたのです。前作でのソニアの特別出演でネタバレを避けるためだけにベンジャミンの苗字を変え、ポワリエ家はベンジャミンの母親の実家という設定になりました。
この作品も話の展開が展開ですから、非常に書くのに力が要る作品でした。アントワーヌ君の臥薪嘗胆物語である「開かぬ蕾に積もる雪」の次に大変だったでしょうか。まずはルイとベンジャミンの青春時代から入り、大人になった彼らにソニアが加わります。そして偽装結婚してめでたしめでたしではなく、子供達の誕生から成長まで書きだし、長くなる一方でした。
そして、今作にも珍しくあの問題作「淑女と紳士の心得」は出てきませんでした。出る必要がありませんでしたね。あの本などなくても生き字引的な存在のベンジャミンが突っ走っておりましたから。ソニアも負けてはいませんでしたが。
「溺愛」ではただのセクハラキャラだったベンジャミンの汚名返上を図ろうとしたこの物語でした。けれどセクハラに更に磨きがかかっただけだったのかもしれません。「溺愛」の時から特にティエリーとベンジャミンの二人のやり合いは書いている私も楽しかったですね。
さてこの作品で王国シリーズ作も11作を数えます。そろそろ区切りをつけたいところですが、きちんと小説の形にできるかどうかはともかく、もう少々ネタが頭の中にあるのです。もし公開出来たらまたそちらも読んでいただけると幸いです。
合間 妹子
ポワリエ侯爵家のお家騒動 王国物語スピンオフ5 合間 妹子 @oyoyo45
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