2話 王都
クリュサオルが去っていったあと、ジンはクリュサオルに言われたとおり王都の方へ向かっていた。
「王都ねぇ……」
アニメやゲームを愛するジンにとって王都と言う響には胸が踊らされ期待に満ち溢れる。
盾を持ったり剣を振ったりクリュサオルが使っていた小さな光の玉も使えるかもしれないと言う野暮な期待を抱く。
しかし今までのことからもそうはならない事もジンは分かっていた。ジンはまだ特別な力を持っていない。それでもまだ未来の自分に期待をし、なんとかしてくれると信じてジンは王都に向かっていく。
2
人の流れに沿い、王都の前までジンは辿り着いた。
入口は何ヶ所かあるが全て検問が行われており、重そうな木の扉が厳重にある。
ジンは1人の検問官に声をかけられた。そして、
王都-ここメルデンは国パルナスの首都にあたり、パルナスの王都は王族とその関係者のみ立ち入りを許されているため、一般人には入ることは出来ない。
そのため、ここメンデルが国民にとっての王都であり、国的には第2の王都。そして首都にも当たる場所となり、よって物流も活発。今はとある敵に向けての物資を集めている最中である。
よってお前のような無一文を勝手に入れれるわけでわない。とっとと失せな。
「と長々説明お疲れ様。検問官さん、アニメだとナレーションの方が色々な風景を写しながら喋るシーンを目の前で見るのも新鮮だねぇ」
「アニメってなんだよ。それより何が目的だ?来て早々この国について知りたいなんて
国民なら常識だぞこれくらい。それとお礼くらい言えよ」
検問官が持つ当然の疑問に戸惑うことはなく自分の要望を言う。
「まぁそれは置いといて、今はそれより俺を歩兵にしてくれ」
「あんた何言ってんだ。歩兵登録はこの先だし、第1住所不定の人を雇ってくれるとは思わんがな」
住所不定という所に不安を覚えるが、
「おれ、クリュサオルに歩兵になればと言われてきたんだけど……それでも無理だと思う?」と人の名前を借り自信ありげに言う。
「クリュサオルさま!?あのクリュサオル様に言われたんですか」
「あ、あぁそうだが」
妙に興奮しながら言う検問の人を少し引きながら応える
「先程のご無礼をお許しください。どうぞお通りください」
「あ、あぁ…………」
急にかしこまった態度に戸惑いを隠せきれなかったが、通って良いと言われたので素直に人の流れに乗り、王都へと入った。
3
第2の王都に入るとまず国を象徴するかの如く、デカデカとお城が見え、そこに向けての道がある。
その道は先程までの道とは違いこと細かく整備されており、馬車などの荷物が零れる様子は一切見えない。
歩兵や魔法使いあと1部の騎士のような人も見え、いかにも異世界って感じの様子だ。
だが1つ気になることがある。それは、
「あまりにも騒がしすぎやしないか?いや……これが普通なのか?」
そうさっきから騎士はウルフに乗り、魔法使いはリザードマンが走らせる馬車に大量に乗って移動をしている。それもかなりの数。
でもここでその原因を知っても今のジンには何もできやしないので、まずは歩兵としての資格登録をしに行った。
4
しばらく歩くとこんな声が聞こえてきた。
「歩兵まだまだ募集しております!この国の危機です」と募集を呼びかけるのに対して、周りの国民は、「誰が自分から死にに行くんだよ!」そんなやり取りが聞こえる。
歩兵という使い捨てのある名前に不安が募り、行くのが怖くなってくる。だがここで、クリュサオルに助けて貰い、教えて貰った恩を捨てることになってしまう。そんなのジンには出来ない。『仇には仇、恩には恩』と考えているジンには裏切ることは出来ない。
なので呼びかけている人に声を変えをかけ、
「歩兵になりたくてきました」
呼び掛けの人は驚いて目を見開いている。
「な、なんと自分から立候補とは··········さぁさぁ」
と案内された場所に通されると、水晶が置いてあった。
「では、こちらに手をかざしてください」
「分かりました」
なんてありがちな·····と思いながら手をかけると、
「あぁぁ··········なんてことだ。スゴすぎる。凄すぎます」
手をかざした瞬間クリュサオルの時に見た小さな光が集まり初め呼び込みをしていた男の声がうめき声になっている。
そして光が止まり、
「これで終わりか?なんか凄い光ってたけど何があったの?」
「いいですか落ち着いて聞いてください」
妙に慎重に話し始める男。
「あなたには神遣い、いいならば神の精霊が与えられています。そのちか-」
「まじで!神の精霊与えられてるの!?」
「いや、だから落ち着いて!」
深呼吸して、
「ふぅ、落ち着いた。で神の精霊ってなんだよ」
「神の精霊とは、ここ最近奇跡的に3人も誕生したと言われています。しかしその3人が産まれる前は最低でも3000年は誰も誕生しておりません。そして、あなたが4人目つまり最後の神精霊使いです」
「なるほど。俺ご精霊使いではなく、神精霊使いか。でも何をするんだ?」
「まずこの国は神様によって創造されたと言われております。神様は自然溢れたくさんの知性持ちし生命をお与えになりました。ですが、そんな神様に反対するかのように誕生した神-この国では
淡々とだが大切なことを教えられたジン。
「神を倒すだのは分かった。だけど陣営とかはないのか?ただ神を倒すのが目的なのか?」
男は頷き、
「もちろん陣営もございます。ですが、それは私が決めるのではなく、立候補者が決めるのであります」
「立候補者ってなんだ?」
「神を倒され他暁には、この国を更により良くする力が手に入ると言われています。4人の方が立候補し、後ろ盾に国の大商人、国最強を謳われる魔法使い、等がおり、その立候補者もエルフが1人でほかは人間で全員女性でございます」
ここまで言われたことを頭の中で整理する。
「この世界は神が創りその神に反するように悪の神ができた。その神を進行している1部の狂信者も国の問題になっていて、その神と狂信者を倒すことが出来れば、神の力らしきものが手に入ると。そして俺は神精霊という精霊が着いており、その精霊は俺含め4人でその4人が各陣営につき神打倒を目指す。これでいいか?」
「左様でございます。私はただの登録を任されただけの者です。更に詳しくは戦場にてご自身でお確かめ下さい」
「確かめるのは構わないが、精霊の使い方ってのか?魔法の使い方すら分からないのだが……」
「魔法と精霊は大した違いはありません。違うのは自身のMPを消費するかしないかそれと威力の問題でございます。魔法は……ジン様ほどの方でしたら、火の魔法『イグニート』なども使うことが出来るでしょう。詳しいことは私よりやはり戦場で活躍されている方々にお教えもらってください」
「うーん……りょうかい。それじゃ行ってくるわ」
「ご武運を」
そういい部屋を後にした。
部屋を後にしたジンは直ぐにさっきここに来るまでによく見た竜車に乗り、戦いが行われている場所に向かう。
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