第7話【フリーライター ”純三・菊池” ジャポネ出身32歳 独身男 の悲劇】




 『フリーライターは今も昔も、金回りはよくない』と愚痴っていたのは、今は亡き父の言葉。


 「ホイホイ請求書だけは、売る程あるってか!!」と愚痴りながら、アフロ国の

「回転寿司」を頬張る、フリーライター ”純三・菊池” ジャポネ出身32歳独身男。


 「そりゃフリーライターでも金回りのいい奴はいるさな……。どっかのお偉いさん

専属のフリーライター。でも!! それは……もうフリーライターとは言えませー

ん!」とまた、親父の愚痴をそのまま口走る、やや、近寄りがたいオーラを醸し

出す、フリーライター”純三・菊池” ジャポネ出身32歳 彼女なし。


 若い頃から、親父に引っ付いて世界中を飛び回った、戦場の地獄も見たし、

南の楽園で、仄かな恋もした、高級ホテルもダニのいる安宿も、張り込みで車ん中で

もよく寝た。


 そんな生活をおくると会社で9時から5時の仕事なんてもう全然むり。


 「で……残された道筋が、フリーライターでございました」素早く端末を操作して請求書先に送金を繰り返す。


 自分は、父とは正反対の、何処かの ”お大臣” 専属ライターになって、世界中に女

囲ってシャンパンの泡風呂入って、年に1回は月探検に行って……。


 ”フリーライター菊池”


 親父の長年のライター生活にて、この名前の響きは、世界中でも超有名。金はなか

ったが、記事に対する読み手の信頼度は半端なかった。”菊池の情報”というだけで、

世界中を駆け回る程だ。


 親父が死んで、俺が後継ぐ感じになって直ぐ。もうウヨウヨとすり寄ってくる

魑魅魍魎共。

 

 初め、「俺は、親父とは逆を生きる」と決めてたけれども、獰猛な企業家や政治家

の奴らを見てたら、生理的に拒否ってしまった。 奴らと食う高級な飯の、なんと

味気ないこと。


 『笑顔なのに目が笑ってない奴らとは、付き合うな!!』


 まだ、子孫はいないけれど、俺 ”純三・菊池 遺言ノート” の1ページ目に記し

といた。


 イカ天巻きを口に入れ「美味え〜♫ 旨いよ兄ちゃん〜♫」時給で寿司握るバイトの兄ちゃんも愛しく思えるぐらいに旨い回転寿司にもありがとう、そんな気持ちにな

れた俺にもありがとう。


 どこまでもおめでたい フリーライター ”純三・菊池” ジャポネ出身32歳 寿司好

き男の端末にメールが一つ。『アジス・アベバ事件、黒髪の少年は誰が連れ去った

か、知ってます』


 なんと! 自分が追い求めてるネタでないか!! 脇に少し汗を垂らした感触。

スパムかどうかも考える間もなく、開けてしまった……。


映像には、女のお腹が大写しになった。なんとも、腹筋が割れ過ぎず、肉付き過ぎず、これぞ理想の女体とか、思った刹那。


 綺麗なヘソ中心をモニターに映像が再生され出した。


 『何故に、女のお腹がモニターなの?』 


 そこには、被写体がぼやけてはいるが、戦闘シーンが映っている、一人が四人に攻められてる映像、素人目にも只者ではない者同士の攻防から、黒髪の少年と目される

物体が、いきなり宙に浮いたかと思ったら、空の彼方へ飛んで行った。


 「なんだなんだ……CGか!」と呟く菊池。ふと仄かな香りが……いつの間にか横の席にいる女と目が合う。


 茶褐色の肌、緑の瞳。女は目を逸らさず、海老天寿司を口に宝張る。

尻尾だけ口から出して”もぐもぐ”してる、エビの尻尾が円を描いてる、寿司屋なのに、結構香りが強い、最近よく匂う香水の香りだ、でも、沢山ふりかけたとは違う、

とにかく濃ゆい香り。


 女は近づいてくる、横に座る、香りが……俺を包む、”南の国の仄かな恋心” 初め

て童貞を捨てさせて ”いただいた”


  誰もいない”映画館の官能映画の官能シーンで腰を動かした、彼女は初め声を殺し

ていたけれど、次第に高まる、映画も、女の高まり絶頂を迎えるシーンに合わせて

トリガーを引いた俺、、初めてなのに、女をイかせた俺様……。


『おいおい、俺、、大丈夫か俺! こんな場所で俺、触ラれてもいないのに俺、もういきそうなんですけれど……俺』


 何とも不甲斐ない絶頂を勝手に迎えようとした瞬間、その香りの強い女は、俺の熱

い部分に、熱いお茶をかけやがった。


 「熱っチチ乳TI乳vV なっ、何しやがる、こっ、この野郎」そりゃあ叫んださ、男

の大事お宝に、熱湯茶をかけられて、「おお〜♫ ナイスブレンドです」なんていう

奴はいない。


 女は海老の尻尾を吐き出し。

 「あんたの熱っつい所に比べたら、こんなのぬるま湯ジャン」


 なんてエロい声なんだ……なんてエロい口の動きなんだ。


 すると、エロい女はお勘定を勝手に済ませて、俺の荷物を勝手に肩に下げ、ノシノ

シと出口へ向かう。尻がいい感じに揺れる、右に左に、エロい感じに揺れる。

咄嗟に、股間を押さえながら追いかける俺。


 女は、歩道を左に折れ、真っ暗な路地を早足で突き進む、進むにつれて次第に暗黒

の世界へと、女の濃い臭いと靴音だけがコツコツと…….。靴音が消えたと思った瞬間、とんでもない怪力で襟首を掴まれ、オドロイタ瞬間、唇を塞がれニュルっとした

舌が進入してきた。


 『なんて…….キスなんだ』ホワホワして、柔らか舌が無重力を漂うかの如く、触

りそうで触らない、振り解こうという意識も湧いてこず、また記憶が蘇る……。


 初めて女をイかせた俺の放出したドグマを、”南の国の天使” は自分の口と舌で清

めた後、キスを求めてきた、焦った俺は、俺は俺は……記憶では、終わった後の男の

刹那、流石に自分のドグマを含んだ唇は遠慮して、険悪なムードになったはずなの

に、その時の俺のお宝は、

 またムクムクとそそり立ち、彼女のキスを、俺の生温いドグマを、舌で絡めて口の

中でキャッチボール……。


 いや、キャッチドグマしている。


 『記憶を書き換えてます俺』



 「ヤバイまたイキそうだ」

 その時、硬い股間を、これまた強力な握力で締め上げられ。


 「イタ、イタ、痛い……なっ、なんてプレイすんだ、この変態女」


 遠くで街のノイズが聴こえる。


 「どう? 続き、したいよね?」


 嗚呼、優しいエロい声に、つい「ハイ、お願いします」と身も心もどうにでもなれ。



 女は背後の壁をノックした、その瞬間ドアが開き、暗闇に慣れた目を潰すか如く、ギラギラな光が二人を覆う。


 「いらっしゃ〜い♫ フィー待ってたわ〜♡」 部屋からドス重い黄色い嬌声があ

がる。


 なんと、扉の先には、革のパンツにマッチョな野郎達が、ちょっと内股で飛び上がってますけど。

 まだ、生娘いや生息子!?、まだ排泄にしか使用していない、お尻のおちょぼ口

が、無性に強張ってますけど。


 ”フリーライター菊池” 世界的な親父の知名度を引っ提げて、向かう先は、天国ですか?地獄ですか? 


 「とりあえず…….一回イかせて」と願う俺は、間違っていないよね!と自分に言い聞かせ。


 『親父、俺、頑張ってます』頭の中で、親父が腹を抱えて笑ってます。


 明日、天気になーれ。

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ボバディ・メディスン JIMANG @JIMANG

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