一番読み返している物語は、涼宮ハルヒシリーズだ。
そう断言してしまえるほど、私はこのシリーズを何度も、何度も読み返した。
一見、学園ものであり王道のボーイミーツガールものなのだが、実はSFで、それでいて、ひとりの少女の成長を描く青春モノでもある。
また、語り手の都合の悪いことは書かなくて良いというのは一人称の特権で、それを踏まえて読み返すと、また別の見方が出来る。
もしかして、これって何度も読み返すことを前提に書かれているのでは?
そう思った時にはもう手遅れで──私はすっかり涼宮ハルヒの世界という底なし沼にハマってしまっていたのだ。ある意味、人生を狂わされたとも言える。
そう、涼宮ハルヒの、とあるセリフが、十数年経った今でも座右の銘となっているくらいには。
「涼宮ハルヒの憂鬱を英文で読もう!」みたいな受験本で涼宮ハルヒに出会いました。
NEXT登録していませんが、涼宮ハルヒの憂鬱が無料の期間だけ読みました。もうKindleも持っているのでNEXTには登録しません。
第7章の良さは、青春、SF、恋愛。どのジャンルで比べてもピカイチの良さがあります。昨今(2024/04/13現在)の本屋大賞で「成瀬は天下を取りに行く」というものが選ばれましたが、元々のぶっ飛んだ女子学生の大元のネタは涼宮ハルヒなのかなと思ってしまいます。
ザーッとでいいので、好きなところだけ読んで欲しい傑作だと思います。セリフの使い回しも素晴らしいです。
この物語の主役はあくまでも涼宮ハルヒである。
主人公であり語り部のキョン君はどちらかと言うと脇役……特に何らかの彼でなければならない理由もないし、多分別にそこにいるのが彼でなくても物語は成立してしまう、その程度の立ち位置である。
主役であり世界の中心である涼宮ハルヒの憂鬱と退屈に共感し、彼女の居る世界をこそ面白いと感じる心さえあれば、誰だってキョン君になれるだろう。
そんな振り回されるだけの彼が、SOS団に入り、知り、自覚し、動くことで、世界が少しだけ面白くなる。
涼宮ハルヒという等身大の、全てが出来るのにすべてが上手くいかないだけの、今にも挫折しそうな普通の女の子に、非日常を適量、ほんの少しだけ与えるというカタルシス。
そしていずれ、知り得たことと、他の誰も知り得ない事を抱え、自分だけがいつでもそれを爆発させられる存在へ……少しずつ脇役からもう一人の主役へ。
そうして辿り着くのが、ヤレヤレと言いつつ涼宮ハルヒの奇行に付き合う人間、キョンという読者の分身でもある主人公であり、
この物語でトートロジーのように繰り返される涼宮ハルヒというキャラクターの、この物語の、問答無用の魅力なのである。
この物語の主役はあくまでも涼宮ハルヒである。
作中に華々しい場面や目覚ましい活躍があるわけではない。
でも確実に、真っ当な人間として彼女は成長していく。
その裏に、水鳥が水面下で必死に足を動かすような主人公の奮闘があるというのは所詮些細な問題なのだ。そうだろう?