第三話「目醒め」
愛とは、必要に迫られずとも一緒に居たいということを指すのだと気づいた。彼女は僕にとって必要だったから、今まで感じてきた多くの違和感を無視して盲目に縋っていた。諍いによって視力が戻った。数日間連絡を無視され続けたときに、僕は自分の精神状態の異様さに驚いた。僕は彼女なしでも普通に息ができる。そうなったとき、僕は彼女を必死に求めるようなことをしなくなった。そうして、僕は彼女に別れを告げ、数日後に誹謗中傷と罵倒の数々を浴びせられても何も感じない自分となった。愛とは何だったのだろう。結局は脳の錯覚に過ぎないのか。
僕は彼女を三人つくった。最初に付き合った人は、僕の全てを受け入れてくれた。二番目の人は猛烈に僕を求めた。三人目の人は普通に僕を好いていた。結論から言うと、僕が本当に求めているのは一人目だった。愛の普遍性なんかを信じなくなった僕は、他人を介して自分を愛するほかなかった。だから、僕の全てを愛してくれる彼女を愛した。きっとそういうことなのだろう。まだ、自分でも全てを理解しているわけではない。ただ、この強靭かつ狂った理性が永遠に無くなることなきよう、僕は強く祈っている。人間を超えるために。
そうして、僕は水を飲んだ。
道を歩む。空が綺麗だった。 夜依伯英 @Albion_U_N_Owen
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