スタイリッシュな殺し屋の仕事2

《とある日の議員の屋外演説にて》

周囲のビルは休業。

辺りは演説を聞く人だかり。

そして、俺は1㎞先のビルの屋上。

今日、お前は死ぬ。


ガシャン


この日の為に頼んだ特注の銃を構える。

弾丸も特注品。

安くは無い。

しかし、確実に仕事をやる為に惜しみはしない。

失敗=死の、この世界で殺り過ぎても殺り過ぎは無い。

慣れない銃。

1㎞の距離。

的は脳天よりも小さい。







しかし、冷静に、弾丸を


パシュッ!


撃ち出した。

撃ち出されるは透明な弾丸。

1㎞を駆け、高度を落としながら議員に向かい、

ポチャン

議員の手元の水のペットボトルのストローの中に入って弾けた。

「………着弾。

撤収。」

何も知らずに水を飲む議員。

何も起こりはしなかった。

その時は。









「グ……オォォォ」

TVに映ったのは腹を抱えて倒れる議員。

しかし、その状態のままどこかに行こうとする。

しかし、それは無駄だ。

あの近辺にアレは無い。

そして、それは15分きっかりで効果を発揮し、1分でお前を始末する。

「オオオオォォ」

尻と腹を抱えたと思うと……


『暫く、別の映像をご覧下さい。』


画面が切り替わった。

成功した。

下剤弾丸が奴を始末したようだ。








《翌日の朝刊の見出し》

アルバート=ハート ファイア!

説明はしない。

「よくやってくれた。

報酬以上の働きだ。有り難う。」

「要件はそれだけか?」

「食事でも…」「いい。じゃぁな。」

依頼を終えた依頼人は他人。

これがスタイリッシュな殺し屋の殺り方だ。

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殺し屋のスタイリッシュなお仕事コメディ 黒銘菓短編集16弾 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika

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