4月17日 記入: 馬鹿
店に文鳥がいるだろ?
何だか知らねえけど、今日羽が舞ってたから暫くは店に出すの控えた方がいいんじゃねえか?
*
「ぁあー……すいません。換羽期なんですよ」
「成る程な。道理で机に羽が落ちてくると思ったけどよお……」
「あれ半分わざとよ」
「お前な」
糸猫庵のカウンターが定位置の手鞠は、そう笑っている間も薄灰の羽を散らしていた。
換羽期と言えば、こいさんや糸も大変だった。
こいさんは猫又でも換羽期はやって来たし、糸も元来錆猫で、普通の猫だから例外は無い。
たまに店に飯を喰いに来た時は、猫毛が舞っていたものだ。
今では殆んどの時間をヒト型で過ごす糸は、それこそ換毛期とは無縁になっている。
だが一つだけ心寂しいのは、毎年恒例の梳櫛行事が無くなった事だ。
糸猫奇譚・落書き日記帳 あてらわさ @touhu-inu
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