見える事実と見えない真実。その二つが重なる瞬間。

新技術の代償として、隔離されたディストピアとなった街。

発生する【音喰い】。発現する【叫詩】という特殊能力。

主人公の回りに忍び寄る影。【敵】は一体誰なのかーーーー?



本作の重要なキーワードは【音】で、登場キャラたちの特殊能力も音に関係する。戦闘向きではないような能力を戦闘で応用したり、戦闘向きな能力を別の側面で活かしてみたり。作者はそれぞれの能力を旨味を充分に引き出し、複数回に渡って新鮮な活躍をさせる。さりげないが、これは凄いことである。

もうひとつのキーワードは個人的に【真実】かと思う。
主人公は、あるものを見ることによって、本来知り得ぬ情報を知ることができる。そして、それゆえに真実に到達することもあれば、それゆえに遠ざかることもある。ここが面白い。だからこそ、ラストシーンが光る。

あと、【愛】。
主人公のヒロインに対する愛が半端ない。

恋愛感情なんてもんじゃない、もっと恐ろしいものの片鱗を見たぜ……。

その他のおすすめレビュー

野良ガエルさんの他のおすすめレビュー66