降る空ノ鼓動

作者 詩一@シーチ

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★★★ Excellent!!!

『音』に関するエトセトラ。
それら全てが異能へと転じる時――。勇気を震え立たせ、知恵を振り絞り、音の世界に閉じこめようとする奴らをぶちのめす痛快バトル小説。
それらの異能を理論的に成り立たせるため、本作には見事な設定がなされています。それは生活の全てにおいて、『音』を意識せざるをえない街というもの。行きすぎた科学文明がつくり出してしまったこの隔絶の街で、愛の物語は進行していきます。
そう、本作の根底に流れるのは揺るぎのない愛。自分が好かれたいとか、なにかの見返りがあるとかじゃない。1足す1が2であるような、ただそこにある愛。主人公のコトヨシは最初から最後まで、ひたすらに愛を貫く熱い少年です。だからこそコトヨシの『異能』が面白くなる。コトヨシの異能は愛を解読することができるような性質のもの。だからやろうと思えば、愛を手のひらで転がすことができる。だけど彼は呑みこんだ。どうでもいいだろう――と。この愛を消滅させたいのであれば、自分ごと消し去ってみやがれ――と。筆者の愛への向き合い方が滔々と伝わってくる、どこまでも熱いラブ&バトルストーリーです。本作の最大の読みどころは、このコトヨシの心を味わうところにあるといえるでしょう。
それは友情とか恋の気持ちとか、家族愛とか他人愛という言葉を超越したところに存在します。ただ、『自分が愛したい人を愛そうとする愛』。演繹的な心なのです。だから彼は、サウンドと陰謀の渦巻くこの世界で、自らを信じ、自らの愛する人を信じながら迷うことなく行動を起こしていきます。相当機転の利く主人公ですから、読者は心臓の奥で唾を呑みながら文章に引きこまれていくでしょう。特にバトルシーンは圧巻です。それぞれの能力に当てられた二つ名もめちゃくちゃかっこいい。音という導電材に題材を絞っているだけあって、バトルをうまくまとめることができています。ちらかっていない。これはすっ… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

もし嘘と本音を聴き分けられたら。もし音で攻撃できるなら。もし音で人を騙せるなら。もし音で世界を救えるなら…

『音』に侵された閉鎖的な街で暮らす高校生のコトヨシくん。平凡なようで常に危険に晒されている彼らの日常は、ある『能力』を介して様々な攻撃に巻き込まれていく。
なぜ彼らは狙われる?なぜ杏と葉月はあんなことに?彼の能力とは一体…?

バトルあり、笑いあり、エロあり。そして圧巻の描写力、発想力、文章力。

読む前に一度考えてみて下さい。
もしあなたが『音を使える』なら、どんな風に使いたいですか?

★★★ Excellent!!!

十代の青い日々、街には世界の全てがあるように見えた。自分たちはこの世の核心とつながっていると思えた。

若い人は分からないかもしれませんが、大人になれば、それは実感しなくなります。大人は世界が違って見えています。

しかし。

この作品には青い日々の焦りと躍動感があります。自分たちが世界とつながっている手応えがあります。それは厳しい現実として。

この作品にあるのは青春です。

★★ Very Good!!

基本のジャンルはSFだと思うのですが、異能力バトルにラブコメや学園モノという要素が含まれています。

・地震を無効にする施設、壁に囲まれた街、登場人物の能力がきちんと繋がっている
・そこから生まれる人間ドラマ
・重い設定の合間に出てくるコメディ
これらのバランスがとても良く、派手な設定をきちんとまとめられていると感じます。

スタンダードなライトノベルを読んでいる気分になれました。

★★★ Excellent!!!

地震大国と呼ばれる日本。そんな日本に存在する鳴平市に、実験的に「あるもの」が建設された。

その名も「共鳴塔」。その塔は地震による地面の振動を音に変換することで、空に放ち無効化するというものだった。その画期的な技術により鳴平市から地震はなくなった。

しかし、運用から五年経ったある日、鳴平市直下型の巨大地震が起き――しかし、地面は揺れなかった。その代わり空が揺れ、空が外れた――。

物語は主人公のコトヨシが幼なじみである杏を助けるところから始まります。
杏が襲われそうになっていたのは、音を失くし、音を求める「音喰い」と呼ばれる存在。

一話目から散りばめられた謎の数々に思わず即フォローしました。
そして、二話、三話と読み進めるうちに遅読である私が二日で読みきってしまうほど、読む手が止まりませんでした。


この作品の何が魅力かと言うと、とにかく少年心をくすぐる、設定の数々!
コトヨシが持つ能力、色っぽいヒロインのお母さん、お色気ハプニング、シリアスなバトルシーン。王道中の王道がこれでもかと詰まっているのです。

そして、何が一番私の読むスピードをここまで上げたのかと言うと、テンポの良さです。話に無駄が一つもなく、けれど物足りなくもないこの絶妙なバランス。これが私の読むスピードを上げたのです。
読後感も気持ちのいいものでした。

私なんかは読みながら、そばにいる恋人に「こういう小説があって! 主人公にはこういう能力が――」などと、思わず語ってしまいました笑

これを読んだら、きっとあなたも能力や設定、背景などを考察し、周りの人に話したくなることでしょう。

少年漫画のようワクワク感が大好きな方には、是非読んでいただきたい一作です。

★★★ Excellent!!!

完璧なホットスタートを決めているので、1話目で合う合わないがわかると思います。引き込まれたならそのまま読んじゃいましょう。10万文字ちょっとです。
私は読んでいてあっという間だったので、10万文字読んだと思いませんでした。それくらい文章が洗練されていて、句読点の配置が適切です。
一種最高の褒め言葉「極めて読みやすい」ってやつです。

さて。

ジョジョの奇妙な冒険、というのをご存じでしょうか。簡単に言うと異能バトルの大御所で、なんかすげー漫画です。

この小説は、小説で描くジョジョの奇妙な冒険、ですね。
小説には、漫画のように絵はありません。強調方法もさほどありません。

でも詩一さんには極めて綿密に作れる文章構成と変幻自在の文体。そして最強の比喩表現手法をもっています。

この3つを最大限に利用することによって、読者に脳内で漫画を描かせる、ということに成功しています。それってつまり漫画と一緒じゃん?

ここで、私がこれぞ比喩表現の詩一と思った描写を紹介します。


~破顔した彼女はその瞬間絵画になった。僕は呼吸を忘れてその芸術に見入る。それほどの秀麗《しゅうれい》を極《きわ》めていたのだ。~


ここですね、ここ。とあるところの1つの描写なんですが、さいっこうの比喩表現だと思いませんか?
些細な箇所なのですけれども比喩表現の詩一を出しています。
こうやって些細な箇所こっそりとした場所に比喩爆弾を置いていくのが詩一の神髄です。
どこにこの記述が書いてあるか、読んで探してみては如何でしょうか。

それで。

良い感じに過激なエロも序盤に多くあり、愛も後半にあふれんばかりにあり、異能バトルは最初から最後まであります。
山盛りですね。

物語の登場人物には幸せになって貰いたいものです。

以上、音喰いに囲まれている現場からお送りしました。

★★★ Excellent!!!

壁に囲まれた町、地震を無効化する塔。SFの顔をした舞台で、少年は特殊能力を武器に闘う。

自らに与えられた能力を理解し、考え、活かす術を編み出しながらどんどんアクションを加速させていく。

そんな熱くなるファンタジーの芯には、どの要素より強く深く、少年の一途な愛が突き刺さっている。



面白いです!色々こうして格好つけて書いてみましたが、何より素直に『面白い』のひと言がすとんとはまります。

そんな『面白い』を作る一端、微エロなラブコメシーン。こちらには『流れるような美しさと巧みな比喩が描き出す高校生男子のあっちゃーな思考』とキャッチコピーを打ちたくなります。真面目な顔でボケ倒すとか、そんなやつ。

一方で、同じく美しく描き出される少年の愛情は、とても高校生が持つとは思えないものです。どこまでも深く、盲目的とさえいえる。それは、彼が乗り越えさせられた凄惨な過去が生み出し、そして彼の足を前へ前へと導く力になります。

彼が出会う仲間たちも良いです。まだ若いけれど、大人がちゃんと大人の顔をしている。こどもの盾になってやろうとする正しい大人の姿にぐっときます。

アクション、ラブコメ、恋愛。どこもかしこも美味しいのですが、私はその全部を食べ尽くした後の最終話が一番好きです。

そこに、ごくごく普通の男の子が立っていることが、とても嬉しくなるのです。

★★★ Excellent!!!

……そんなタイトルのレビューをつけたくなるようなお話でした。

ジャンルが「現代ファンタジー」となっていますが、設定の背骨の部分ではSF的な要素が入っています。というより、「SF」だと思って読んでいました、正直。ガジェット的なところはSFなのですが、ストーリーラインはがっちりと青春ラヴストーリーであったり、ちょっと特殊なアクション物だったりと、数多くの技が使われています。

しかもそれぞれの技が美しく絡まり合っているんですね。調和、均衡、そういうものをしっかり置いた上で、故意にぶっ壊す。その静と動の振り幅のおおきさが作品全体にメリハリを与えている用に思いました。ちょいエロ表現を含め(笑)

主人公を始め、某集団の特殊能力の設定設計やバリエーション、その使い方は、実に見事と言わざるを得ません。一人一役、しっかりと役割を持って存在感を出しているなぁと。悪役も然り。

キャラクタの描写も無駄がなく、「これは映像化したら映える!」とも思えました。たぶん、読まれた方の多くがそう思えるんじゃないでしょうか。

というわけで、オススメです!

★★★ Excellent!!!

特別地域。壁に囲まれた場所。特殊能力バトル。恋愛。秘密の組織。陰謀。

学生、主人公コトヨシの住む地域に、地震を無力化する設備が出来た。
世界中が注目した。だが、それは思わぬ形で失敗する。

特殊能力を持つコトヨシは、愛する杏を救い出すために市長のいる中枢に乗り込む。同じく特殊能力を持つ仲間とともに。

読み始めた時、作者はターゲットを絞ってきたなと感じた。
中高生~20代の若い男性を狙っていると。
ネーミングは厨二心を煽るし、微エロシーンはあるし、超能力でのバトルはあるし、主人公はなんだかんだ言ってハーレム状態なのだ。

そして45話を4日間で一気に連載するという珍しい方法は、集中的に読者を誘い、ランキング上位を狙うためのものかと。
カクコン攻略のために、試行錯誤されたのだろうと察する。策士だな(笑)

作者の策略に唸りながら読み進めると、この話は愛する人の幸せを願う主人公の一途な想いで貫かれていた。
相手の内心を知ることが出来るコトヨシだが、最後にはそれすら必要としない。
何があっても、信じて愛す。決して揺るがない主人公の想い。
作品のプロデュースの仕方とは違い、王道中の王道である。

愛するとは何か。作者からのメッセージに辿り着いて欲しい。

★★★ Excellent!!!

まず、残念ながら私はACIDMANの曲が分かりません。もしも聞いてからだと、この作品にはまた違ったイメージを持つのかも知れません。ですが、ACIDMANを知らない人でも問題なく楽しむことができます。

閉塞的な街やその原因。そしてそれを発端とする特殊能力。全体的に色のない静かな雰囲気のなかで、一貫性をもちぶれない主人公コトヨシから伝播する諦めない「色」が鮮やかに感じられます。

それぞれのキャラクターがきちんと活躍できる安定したストーリーと応用がきく魅力的な能力に、逃げ場のない街。そして筋の通った主人公。読み終えたあとの爽やかさ。安心して読める作品です。

★★★ Excellent!!!

色々詰まってて面白かったです。
ざっと思い出せるだけで、『異能力バトル』『ラブコメ』『純愛』『学園もの』『秘密結社』『VS政府』『微エロ』なんて、ワクワクする単語がたくさん浮かびます。
よくここまで、詰め込んだなぁと思います。
それでも内容がごちゃごちゃしていなく、一本の棒が最初から最後まで通っています。
一本の棒というのは、『コトヨシが幼馴染で愛する杏を守る』というこれだけで興味が湧く一本。

この作品はかなり厨二心をくすぐられます。
ルビはかっこいいし、設定も凝ってるし。
アクションシーンなんかは、迫力しかなくて読むスピードが止まりません。

完結してます。十万字ちょいです。でもすぐ読めます。
さあ、読みましょう!

★★★ Excellent!!!

様々なタグ付けがなされている通り、あらゆる要素が込められた現代ファンタジーです。
そしてこれはわたしが小説だけでなくあらゆるエンターテイメントに触れるときに一番重要視しているものと重なりました。

「どこから読み始めても読む人間を引き摺り込む!」

そのためには単にストーリーが優れているだけではダメでしょう。
センス、と言ってしまえば才能みたいですけれども、わたしはそれを努力で築き上げられた『感性』と表現したいです。

書き手がこれまでに触れてきたありとあるエンターテイメント、そして、それと共にある日々の日常の瞬間瞬間。それから築き上げられる単語のひとつひとつの選び方。

スクロールしたそのシーンが一枚の鮮烈な『絵』として飛び込んでくるような、そんな小説がわたしが求めるものであり、わたしもそういう小説を書きたいと願っています。

序盤、中盤、好みのシーンはそれぞれかと思います。けれども、必ずやあなたに完全適合する瞬間が『ねじ込まれて』くるでしょう。

連載中の早い段階にどうしてもレビューさせて頂きたかった作品です。

おススメです!