BORDER UP

　私たちは二つで一つ、一つで二つ。私は人の子、私は科学の申し子。私は人の心、私は鋼の心。私たちは元々一つが二つ、二つを合わせて一つになる。

　西暦20XX年、ロボットサイエンスは次なる段階へと足を踏み入れた。それは「人工知能の感情獲得」。人間性の頂点として長く君臨していた「喜怒哀楽」を機械が体得する試み、その方法とは「人間とロボットの精神と五感を科学技術で完全に繋ぎ合わせる」ものであった。
　少女の名は翡翠とジェイド、性格はおろか容姿も全くの同一で揃えた二人。何処にでもいる双子の高校生に見えて、世界でも数組しか存在しない特別な関係。
　人間と機械の垣根を取り除くのではなく、「その境界線を新しいテクノロジーパラダイムを用いて、両者を一つ上の次元に昇華する」、通称『ボーダーアップ計画』の要。共…続きを読む