全日本高校女子航空相撲選手権

デバスズメ

実況中継ラジオ放送

「さあ、今年の全日本高校女子航空相撲選手権もいよいよ団体戦の部決勝戦となりました。実況は私、飛田(トビタ)。解説はおなじみ、元男子航空相撲大関、鷹乃華(たかのはな)関に来ていただいております。鷹乃華関、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」


「早速先鋒戦ですが、東は石川県代表の朝霧(あさぎり)選手、やや小柄ながらもバーニアの扱いに定評がある2年生。そして対する西は静岡県代表は富士望(ふじのぞみ)選手、まだ1年生の期待の新星です」

「富士望選手にはぜひ臆せずに力強い相撲をとってほしいところですね」


「両者、1km先の相手をモニターで確認し、耐衝撃ジャンプスーツの腰に航空相撲武具(マワシ)を締め、領域認識大銀杏(ヘルメット)を装着します。背中のジェットに火が灯ります」


キィィィィィ……(ジェットエンジンが出力を高めていく音)


「上空の行事が安全確認を終え、時間いっぱいです」


『ハッケヨイ……』

「ヘルメットから聞こえてくる行事の声に合わせて両者、手を付き離陸体制へ」

『……エンゲージ!!』


ドゥッッッッ!!(航空力士が飛び立つ音)


「両者勢いよく中央の空中球体土俵(エンゲージリング)へと飛び立った!」

「ふたりとも素晴らしい立ち上がりですね」


「先に土俵入り(エンゲージ)したのは富士望選手!上空土俵際ギリギリまで高度をあげます!やや遅れてきた朝霧選手!半径100mのエンゲージリングへとエンゲージし、上空の富士望選手へ躊躇なく最高速でぶちかし!富士望選手これを受けた!がっぷり四つでマワシをつかみフル出力で土俵際で耐える!両者の位置が動かない!」

「こうなると高度がある富士望選手が有利ですね」


「鷹乃華関の言う通り、じわじわと地面に向かって押されていきます朝霧選手」

「1試合で使用できる燃料は限られていますからね。このままではジリ貧ですよ」


「重力を味方につけた富士望選手、低空土俵際まで朝霧選手を押す!力強い一気の押し!朝霧選手のヘルメットに場外警告アラート音が鳴り響く!あっという間に土俵際だがあーっと!」


ボッ!(バーニアで朝霧選手が富士望選手の背後に回り込んだ音)


「朝霧選手がバーニアで体を入れ替えた!そのまま押し出しーッ!」


『アサーーーギリィーーーー!!』


「行司の軍配が上がります。いやあ、素晴らしい切り返しでしたね」

「土俵際であそこまで押されてからバーニアを使うのはプロでも勇気がいりますが、朝霧選手は胆力が素晴らしい。エンゲージ速度と高度を意識した基本に忠実な取り組みの富士望選手も、成長が楽しみです」


「さあ、東は石川県代表が白星を1つ上げました。次は次鋒戦、東は喜十ノ舞(きとのまい)選手、対する西は爽空仙(そうくうせん)選手です」


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「えー、突然ですが臨時ニュースの時間です」

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