300カオス エッセイ、良いか悪いか

 突然ですが、このエッセイは第300回というキリのいい今回で終わります。


 思えば2019年の9月にはじまったこのエッセイ。じつはそれまでに書いていた創作論の続編のような形で書きはじめました。理由は、PVが稼げるから。当時のわたしは、「もっとおもしろい小説を書くにはどうしたらいいだろう」と悩んでいて、悩み過ぎていて書けない状態に陥っていました。そんななかで、カクヨムに旧作をアップしては、PVが集まらないことに失望して削除するということを繰り返していました。


 わたしは短編書きなのもので、アップする小説はほとんどが10000文字までの一話の読み切り、長編と違って固定の読者がついてくれません。そのころになってようやくそのことに気づき始めたわたしが、「PVを集めて、小説執筆のモチベーションを上げるため」書き始めたのがこのこのエッセイの前身となる創作論でした。


 ――創作論は読んでもらえる。でも、「創作論」として書けることなど、たかが知れている。創作に関するエッセイに形式にしよう!


と書きはじめたのが、このエッセイだったのです。


 結論として、エッセイは有効です。

 特に、カクヨムのメインストリームではないタイプの小説を書いていると自覚のある人には、とても効果があると思います。コンスタントに書き続けられるなら、エッセイは小説より読んでもらえます。それは女性より男性で、若者より中高年でより鮮明なるというのがわたしの印象です。


 世の中にはもの好き――もとい、博愛精神に富んだ人というのがいるもので、へたくそなエッセイであっても、フォロワーとなってくれる人が必ずいてくれます。エッセイは書き続ければ、書き続けるだけフォロワーさんの数は増えていきます。確実に。


 そして、フォロワーさんのうちの何人かは、頼まなくってもPVのつかなくなった小説を読んでくれます。そのときのうれしさといったら……。小説が上手に書けていればその割合も上がるので、小説に精進しよういう動機付けにもつながります。


 エッセイを書くのは、いいことづくめです。


 エッセイのフォロワーさんとやりとりをしていると気づけることがいろいろあります。

 まず、カクヨムコンが開催される時期には、そのことで盛り上がれます。わたしはカクヨムがはじまってから5年間、カクヨムコンには無関心でしたが、フォロワーさんたちが盛り上がっているのをみて、前回ははじめて短編で応募しました。


 これもまた開始当初から冷淡だったKACにも、フォロワーさんたちがつぎつぎに投稿しているのを見て、「楽しそうだな」と考えなおし、結局8作を投稿しました。このKACに書き続けたおかげで、無事にわたしは創作意欲を取り戻したのですから、エッセイのフォロワーさんたちには、いくら感謝してもし足りないほど恩義を感じています。


 その反面、エッセイを書くこと自体には、小説執筆の技量が上がるといった効果はほとんどありません。エッセイを一所懸命に書いたからといって、小説が上手になるということはないのです。


 また、小説のPVを上げるためにエッセイを書いているのに、エッセイから小説への流入が少なく、効率的でないと考える人が、エッセイを続けるのは難しいと思います。功利主義的な視点からのみエッセイを見ると、エッセイはそれほど生産的な作業とはいえないからです。


 カクヨムのエッセイは、これを媒介にして書き手と読み手(多くはフォロワーさん)が繋がる場だと思います。エッセイ本文と同じか、それ以上の熱意をもってコメント欄に返信メッセージを書き込むマメさが必要ですし、なによりフォロワーさんたちに対して、自分を偽ることのない(身元じゃなくて、心の内を……ね)ようにするべきです。その点、本質的には「つくり話」である小説とは、アプローチの仕方が変わってきます。エッセイはよりシンプルに、より率直に書くのがもっともよい方法だと思います。





 創作論としてはじまったこのエッセイは、最終回、わたしのエッセイ論という「創作論」として終わることになりました(笑)

 お付き合いしていただいたフォロワーのみなさん、「わたしと本の日々」はこれで終わりますが、これに味をしめたわたしが別のエッセイをはじめるのは、ほぼ確実です。興味のある方は、また藤光の新しいエッセイを探してみてください。300回ありがとうございました。


(了)

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わたしと本の日々 藤光 @gigan_280614

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