1 逆さまの幽霊 side B

side Bでこそアクセル踏み込んじゃうんですよ。


3 噂の根源(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16816927863227072949)より

 ・昭和末期から平成初期

  リアルにいじめ問題が世間にポップしだした時期。

  ※深刻な内容ですが深刻にし過ぎたくないので

   言葉選びがポップになりました



4 憶測の余地(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16816927863235903160)より

 ・祖霊それい信仰

  故人単体ではなく、ご先祖様という総体に対しての

  信仰。

  日本人的には最早信仰でない道徳的当たり前の部分が

  ある。

  たぶん死者をべて「仏さま」とするのはこれと

  神仏習合との相互干渉によるもの。



5 願望に呼ばれたもの(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16816927863242570778)より

 ・子不語怪力乱神子の怪力乱神を語らず

  『論語』の一節。現代解釈上、怪/力/乱/神として

  怪しいこと、力ずくのこと、秩序を乱すこと、

  鬼神のこと、とされるが、あくまで怪力/乱神

  (怪しい力、非正統な神)とする解釈もある。

  読み下しによっては「子」になってるが、

  単純に主格の格助詞を現代風にするか否かの話。

  ※「は」が主格の格助詞になるのは現代文法。


 ・Dead men tell no tales.

  死人に口なしの英語版。

  「死者達は語る話を持たない」といったところか。



6 逆さまと呪い(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16816927863261921853)より

 ・榛色はしばみいろ

  ヘーゼル。

  榛色はしばみいろや明るい茶色の虹彩は

  光の角度で色味が変わることがある。

  リアルで見たことあるけど不思議。

  まあ、単純に虹彩におけるメラニン含有量と

  その分布のかたよりの話である。


 ・股覗またのぞ

  股覗またのぞきをすると妖怪が見える、

  というような伝承が存在する。

  実際に股覗またのぞきをした場合に起こる

  錯視による認知への影響の研究については

  立命館大学の教授と大阪大学の教授が

  イグノーベル賞を受賞したことでも

  ちょっと有名。


 ・あめ逆手さかて

  呪う時に使用する通常とは異なる柏手かしわでの打ち方、

  とされる(実際のとこは未詳)

  古くは『古事記』に見え、『伊勢物語』にも

  その存在は確認できる。


 ・帰らせたい来客に対するホウキ

  客を帰らせたい時、ほうきを逆さに立てる、

  という迷信・まじないがある。

  確かサザエさん原作にもなかったか。


 ・諷歌そへうた倒語さかしまこともっ妖気わざはひ掃蕩はらへり

  『日本書紀』の一節。

  倒語さかしまことの具体的な内容については

  諸説あるが、通常の文章を逆から読むなどの説が

  ある。

  回文に通常ない力が宿るというのは一定以上普遍的な

  考えで、古代ギリシャの呪文に

  「ΑΒΛΑΝΑΘΑΝΑΛΒΑ」(アブラナタナルバ。左右

  どちらから読んでも同じ音になる)というのがある。


 ・ハレとケ

  みんな大好き(多大なる語弊)ハレとケ。

  ケが一般的日常を指すが、ハレの指す範囲についての

  認識はたぶん「晴れ舞台」とか「晴れ着」に

  引っ張られてポジティブな儀式、祭礼を指すと

  考えられてる部分があると思う。

  ※ハレは年中行事や冠婚祭を指すと

   言われる場合もある。



7 魂は天に(https://kakuyomu.jp/works/16816927863205636014/episodes/16816927863271930678)より

 ・井原西鶴いはらさいかくの作品

  具体的には『西鶴さいかく諸国しょこくばなし』

  『西鶴織留さいかくおりとめ』の逆絵もこれらに

  関するとか関さないとかとよく言う。


 ・浄瑠璃じょうるり歌舞伎かぶき

  浄瑠璃じょうるりだと近松門左衛門ちかまつもんざえもん

  『けいせい反魂香はんごんこう』や『天神記』、

  歌舞伎かぶきだと『東海道四谷怪談とうかいどうよつやかいだん』や

  『傾城壬生大念仏けいせいみぶだいねんぶつ』などがあるという。

  特に『東海道四谷怪談とうかいどうよつやかいだん』の演出は「提灯抜ちょうちんぬけ」と

  呼ばれる。

  このあたり、『怪異の民俗学6 幽霊』

  (河出書房出版)に収録された服部幸雄先生の

  「さかさまの幽霊」が参考資料。


 ・菟名日処女うないおとめ

  菟原処女うないおとめ表記の方がおそらく一般的。

  摂津国せっつのくに菟原うない(現兵庫県芦屋あしや市付近)に

  いた美しさ故に二人の男に求婚されて自害した

  という乙女(男たちも後追いで自害)。

  『万葉集』に彼女の墓について詠んだ和歌が収録

  されている。

  類似の伝承としては、真間まま手児奈てこな

  (真間=現千葉県市川市)がある。

  『求塚もとめづか』は菟原処女うないおとめ伝承を題材に

  観阿弥・世阿弥が作成したとされる能。

  この中に地獄で責め苦を受ける菟原処女うないおとめが描かれる。


 ・魂魄こんぱく思想

  たましいこんはくの二種から成り立つ、

  という道教系思想。

  中国由来のものは陰陽二元論に影響されてか、つい

  なる概念というのが割と多い。

  一つのたましいあたりのこんはくの割合には

  諸説あるが、三魂七魄さんこんしちはく説=こんはくが3:7が

  有名か。

  こんが精神、はくが肉体をつかさどるとされ、

  死後はこんは天に、はくは地に戻るとされた。

  なお、いわゆる殭屍キョンシーは死体にはくだけ

  戻したもの(だから身体が動く)、と考えられる。


 ・虎魄こはく琥珀こはく

  『和漢三才図会わかんさんさいずえ』の虎の項には次の記述がある。

   夜るに一目は光を放ち、一目は物をる。

   猟人りょうじんさぶらいこれを射るに

   すでに及べば目の光すなわち堕ちて

   地に入り、白石のごとし。

   これ虎魄こはくす。

   人その頭項あたまところしるし、

   月のくらきに掘り、下ること尺餘しゃくあまりにし、

   これ

   ほ人の縊死いしせるはく地に入りて、

   したがいすなわこれを掘るに

   かた麩炭ふたんごとくなるのごとし

  ……虎は夜に片目で光を放ち、もう片目で物を

  見ている。

  その時に狩人が矢を射て殺せば、目の光は地に入って

  白い石のようになる。

  これが虎魄こはくである。

  その虎の頭の場所を記録しておいて、

  月の暗い頃(?)にこれを掘り返すこと一尺ほどで、

  これを手に入れられる。

  これは首吊りで死した人のはくが地に入ったのを

  掘り返すと麩炭ふたん(未詳)のようになるのと

  同じである……って感じです。

  国立国会図書館デジタルコレクションで確認できる。

  ……まあ、返り点と送り仮名(合略ごうりゃく仮名含む)が

  振られただけの漢文が読める前提の話にはなる。

  昔取った杵柄きねづか、出ててよかった日文科。

  書き下し版は東洋文庫から出てなかったかな……。


 ・魂呼たまよ

  『小右記』に平安期の実例が記載されてるらしい。

  また、実際各地に伝承として残っている。

  朝ドラ『ゲゲゲの女房』で、戦地に行った茂が死に

  かけているという夢を見た両親が茂の名を繰り返し

  呼んだのはこれと意識的には近いと思う。

  なお、このあたりは山本陽子先生の

  「『さかさまの幽霊』再考」

  (https://meisei.repo.nii.ac.jp/records/502)や

  『魔除けの民俗学 家・道具・災害の俗信

  (角川選書)、日文研の怪異・妖怪伝承DBの

  「魂呼び」での検索結果を参考資料に上げる。

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