5 願望に呼ばれたもの
「今回の依頼人……まあ今回の噂の発生源だったわけなんだけど、彼女が言うには、実際に事件が起きてから、旧の噂が発生するまで、タイムラグがあったんだよ」
そう言って、
ロビンは片眉を上げて、
「実際に噂が出たのは、昭和末期から平成初期にかけてのいじめ問題の
「つまり、最初のウワサは
ロビンにも話が見えてきた。
先に自殺があって、その後の時流で問題に上がったものの影響で、「その自殺の原因もそうだったのではないか」と勝手に思われ、噂となった挙げ句、
そうなれば、実際に焼きついていた
見たいものを見たいようにしか見ない人間なんて、そこかしこに
「……本当に墓穴
「まあ、ロビンの目ならそう言うよね。それでも、二十年前ぐらいに
「なんで?」
その
ということは、かなり局所的な理由で、恐らくは
「
「はあ? いきなり
変人
そして、悲しいかな、長年の付き合いとそれに
「まあ、依頼人の時点で伝聞だから、伝聞の伝聞なんだけど、当時の
「……なるほど」
その気持ちを、ロビンはわからないでもない。
誰もが、基本的に、自分の見ている世界しか
「で、センセイ、依頼人当人、あの古株の先生は、本物の目撃者、なんだろ?」
「正確には、あの先生は本当の依頼人の協力者、だよ。本当の依頼人は、今の生徒のおばあちゃん……というには若い人。でもロビンがそう見たなら、その先生も解決を望んでたんだろうね」
ロビンにとっての
そんなロビンから見て、あの高校の職員室で対応してくれた、あの先生はどちらかといえば
良く言えば有り
「で、こんな少し離れた年代でわざわざ
「そういうこと。最初の噂はどうやら、こういった事件を背景として、抑止力の意味合いで語られたようだよ。本人の
自身の決意と恨みを胸に死んだ少女は、勝手にいじめに対する因果応報の舞台装置の役を押し付けられたのだ。
「だから、実際の真偽を問わず最初の噂の段階で逆さまであるべきだった。それをさっきキミに確認したんだ、ロビン」
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