私と読書と秋

@aqly

第1話 本との出会い

私は大学2年の夏。衝撃的な出会いをする。

まるでラブコメの一コマのような

ミュージカル映画のワンシーンのような

衝撃的な出会いだ。


普段全く本など読まないし、趣味も特にない

普通の大学生の私鈴山春風すずやま はるかは友達の本野優子ほんの ゆうこの付き添いで本屋に来ていた。


かなり大きな本屋で店内はタイルや本棚に木目の装飾が施されていて統一感があり、オシャレな空間が拡がっている。

店内は広いので

本の種類によって沢山の区画に別れている。

漫画、雑誌コーナーには割と若い人が少しガヤガヤした雰囲気で戯れている。

また、哲学や心理学、社会学のコーナーには割と年配の方が真剣な趣で本を選んでいる。

なるほど、初めて大きな書店に来たのだが、コーナーによって客層が違うのか。

友達は新書のビジネス本が欲しかったようで、私とビジネス本コーナーに向かった。

そこにはいかにもな人が沢山いた。

私はその雰囲気だけで直ぐに逃げ出したくなったが、優子は楽しそうだ。

私は何となく邪魔にならないところへ避難した。

「んーと、あ、あった!」

優子はお目当ての本を見つけることが出来たみたいだ。

これでここから出られる。

優子はとても嬉しそうに、レジへ向かった。


優子は嬉しそうに本を抱え帰ってきた。

彼女は大学に入って初めてできた友達だ。

茶髪のボブカットに垂れ目。

ほんわかした雰囲気が周りを和ませる小動物的な可愛さがある。

そのほんわかした雰囲気が凄く好きで、よくお願いされて買い物に付き合ってしまう。

楽しいからいいのけれど。


「優子。嬉しそうだね。結局なんて本買ったの?」

「んーとね、孫子の兵法についての本だよー。なんか、この前テレビでやってて気になっちゃってさ!」


なんだか、国語の授業でありそうな内容の本だな。いや、世界史か?


「あ、春風!いつも付き合ってくれてありがとっ!お礼に今日は本1冊買ってしんぜよー!」

「ふふっ何その喋り方っ。じゃあ、お言葉に甘えて何か買ってもらおうかな。」


可愛さに負けて二つ返事で返してしまったが、本に興味が無い。


「あー、私あんまり本読まないからどれにしたらいいか分かんないなぁ。」


どうしようか。何も考えずに返事をしてしまったことを若干後悔した。


「んー、春風はあんまり本読まないんだよねー?だったら小説のが読みやすいと思うよ!」


そうか。小説なら小学校の時に少しだけ読んでいた時期があったな。

全部読めた試しはないが。


「そうだね。小説にしようかな。」

2人で小説コーナーへ向かう。


小説コーナーに着くと、そこにはたくさんの人がいた。

老若男女問わず、たくさんの人が。

それだけ小説というのは全世代に必要なものなのだろうか。

少しだけ興味がでてきた。

沢山並んでいる本の方に目を向けると。

『衝撃的なラスト!』

『絶対的感動作!』

などというポップがたくさんある。

こういうキャッチコピーを見るとなんでも魅力的に見えるものだ。

おまり私には響いてこないが。


「なんか、気になったものあった?」

「んー、まだこれといったのは無いかな。」


とりあえず一通り小説コーナーを見てみることにした。

沢山並んでいる本と、たくさんの人。

あまり人混みが得意ではない私は少し気分が悪くなってきた。

もうそろそろ断って帰ろうかな。

そう思った時。

表紙が異様に綺麗な本が目に飛び込んできた。

どうやらファンタジー系の小説っぽいのだが、綺麗な風景と悲しげな少女に心を奪われた。

「これにしよっかな。」

「え、これ。見た事ない本だ。結構私本詳しい方なんだけどなあ。本当はおすすめの本あったけど、春風がこれがいいって思ったならこれにしよっ!!」


これが本との出会いだった。

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