第4話

「う~んと。まずテレパシーボイスは誰だって持ってる力じゃないんだ。持っている人はボイスラーって呼ばれてる。

ま、一般人からしてみたらボイスラーって言う存在が何なのかも知らない。知ってたとしても単なるマジシャンみたいに扱われている。

現に翔馬も知らなかったでしょ?」

「はい。」

甘崎から聞くまで自分がボイスラーかも、ボイスラーというものが何なのかも分からなかった。

「今、警察が確認出来ているので、108人。ボイスラーは翔馬みたいに後天性のものもあるし、実際はもっと多いよ。

その中でもボク達みたいに人助けに使う人間と人を痛みつけたり、操ったりして悪事を行う人間の二種類に分けられる。あとはボイスラーって事を隠して生きている人かな?

そうだなぁ・・・ボイスラーが人を操ることができる仕組みを教えようかな。ボク達はそもそも声帯の仕組みが違うんだ。ボク達が発する声は特殊な超音波が含まれている。だから脳に直接ビビビってして相手の頭ん中を支配できるんだ~。」「び、ビビビ?」

思わず聞き返す。

「そう、ビビビ。うーん。なんて言えば分かるかな?」

「脳に直接訴えかける・・・。」

翔馬の隣で寝息を立てていた白髪の青年、卯城うじょうがゆっくり起き上がった。

「そう、それ!って卯城起きてたんだ~。」

「今起きた・・・。」

あくびをしながら欠神をする。

「少年には語彙力が不足している。」

「もう!少年じゃなくて夢って呼んでよ!それにボクもう24歳なんだけど!」

(24歳!?)

思わず視線を甘崎に移す。甘崎はぷぅっと頬を膨らませていてその見た目はいかにも少年のようで。

(まだ未成年かと思った。しかも俺より年上って・・・。」

自分の目も充てにならないと思った。

「俺にとっては少年だ。」

「もう!」

「・・・あんた誰?」

卯城はこっちに気づいて翔馬にぐいっと近づく。

「来瀬、翔馬、です・・・。」

「ふーん。俺は卯城御幸・・・。」

卯城はボソリと名前を呟くと、「ふわぁ」とあくびをして部屋から出て行った。

「で、どこまで話したっけ。」

「テレパシーボイスの仕組みとか、まぁ・・・。」

「そう、そう!あと超音波の量は慣れれば調節できるし、無差別に操ることはないから翔馬も練習しようね。

じゃあ次はボク達箱庭についてね!

箱庭は元々4つのグループだったんだ。それを現在の司令塔『九十九永久つくもとわ』率いる『checkmate』が警察・政府の暴走を止めるためにまとめあげた。癪だけどボクの知ってる中でダントツのボイスラー集団だよ。」

甘崎はウインクをした。

「さ、歴史はこれぐらいにしておいて、次は箱庭の仕事について!」

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テレパシーボイス 夕霧なずな @yugiri1011

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