名探偵コナンの作者として有名な青山先生のデビュー作に『ちょっとまってて』という漫画があります。
この作品の中では2才差のカップルが歳の差を解消するために、年下の彼氏の方がタイムスリップしようとするのですが、年上の彼女が出来心で装置をつけてしまい、そのまま2年が経過。
彼女の存在を忘れかけていた彼氏は3年生になって、「自分を彼女にして!」という後輩が代わりにいる始末。それでも最後は彼女のことを思い出して、後輩は去ってしまうのですがそれとは違ってこの作品では後輩のような存在のお見合い相手が、別れた恋人を応援しています。
タイムスリップ物と比較してしまうのはお門違いですが、機械とコンピューターという面でよく似ていると思いました。
彼女と考え方が違っても、一度別れてもまた巡り合うのがコナンであり、この作品でもあると思っています。
作者様を傷つけてしまったら申し訳ありません。
ミスマッチアプリ。相性のいい人間を探るマッチングアプリの逆バージョン。自分と相手の相性の悪さがパーセンテージで表すことができる。そのなかでも稀有なパターン、ミスマッチ率100%の女性と出会う。彼女は雨宮翔子。興味深い数字を叩き出した彼女と会わない理由がなかった。
人間関係は数値で測れるものなのか。ミスマッチ率の高い人間は排斥すればいい。そう作中で述べられていますが、主人公と翔子の関係がひとつのアンサーなのだと思います。まったく合わない人間とはいかなるものか。好きなものを嫌い、嫌いなものを好む二人。価値観や意見の相違は目に見えていて、すれ違うこともあると思います。合わないから排斥するのではなく、そこから二人が何を感じ、相手と関わり、関係を築いていくか。その紆余曲折ある過程に胸を衝かれます。
マッチングアプリ、ミスマッチングアプリがあれば、確かに人は恋を自分でしなくなるかもしれない。アプリに頼って相性の良い人と恋愛すればいいのだから。でも、それは本当の恋愛と言えるんだろうか。
主人公はミスマッチング100%の女性と興味本位で会いますが、好印象を持ちました。
付き合っていくうちに、意見の相違は感じるようになり、それはミスマッチングのせいなのかと思ってしまうこともあるでしょう。でも、一度別れて気付いたのは、好みや意見の相違があってもお互いを愛しく思うことの大切さ。
確かに彼らは今後も喧嘩をするに違いない。でも愛がそれをきっとカバーしてくれる。
相手とのミスマッチング率をテーマとしているのが、恋愛の導入としてとても面白いと思いました。
肝心の恋愛要素については、徐々に知り合っていく2人はやっぱり噛み合わないことだらけで、そのでこぼこだったり衝突だったりが会話を通して上手く表現されているので、すんなり感情移入することができます。アップダウンのある展開がテンポよく進んでいくので読みやすさもありました。
ネタバレになるのでストーリーについてはあまり触れませんが、最後のミスマッチング率を逆手にとっての展開はとても好きで胸が熱くなりました。
みなさんもぜひ本編をご覧になってください。
いいですね!素晴らしい!
テンポよし、文法よし、なにより人物描写が素晴らしい!
特に
彼女は風になびく長い髪をかき上げながら,冗談めかしてはにかんだ。
という所は、彼女の人格を端的に伝えてます!しかもここで場面転換!とても映像的です!「ええ」と共にズームアップして「私も~」と髪をかきあげる、そんなカメラが浮かびました!巧みな人物描写がストーリーを盛り上げてくれます!
ただ、逆に風景描写に乏しい!今のままでも十分ではありますが、更に高みを目指すなら、カフェの、美術館の、遊歩道の様子を、かっこよく的確に切り取って、一文二文入れるとより情緒が増すと思います!今のままだと読者に丸投げです!
後々の思い出の地巡りも、フラッシュバックでかなりドラマティックになるのではないかな、と思います!
いや、それくらいしか言えないですね!
面白かったです!