鉄屑からできたモンスターを討伐して、貴重な資源を回収する戦う公務員の物語……。
公務員、っていうとあれですけど、戦うんです。戦士です。ハンターです。
いわゆるヒーローものでしょ? アクション重視でしょ? ドンパチやってりゃいいと思ってるんでしょ?
そんな印象を抱いたあなたにこそ読んでほしい。
ここには、「戦うことへの葛藤」も、「自分の内側についた傷の舐め方」も、「ある個人を大切に思う気持ち」も、「大切な人を守りたいという思い」も、「家族への愛情」もあります。
「信念や覚悟、想いが試される」場面もたくさんあります。
もし自分がシュカの立場だったら……そう考えずにはいられないと思います。
ただのヒーローものじゃありません。
戦う理由も、自分との向き合い方も、恋も、信念も、愛情も。
大切に、丁寧に、巧みに、描かれています。
胸が熱くなります。戦い、という意味でも。ドラマ、という意味でも。
一読を勧めます!
いやいや、すごく良い作品でした。
イケメンでマッシブな主人公が活躍する物語もいいものですが、今作のヒロインはシングルマザー。しかも狂戦士ばりの凶暴性と、一人息子を溺愛する二面性が鮮やかなヒロインです。
敵はスクラップを寄せ集めた『クリーチャー』、姿形も様々な謎の多い自律メカです。
世界設定はSFながらも、しっかりとした人間ドラマが息づいています。
定時になればお迎えに行かなきゃならなかったり、ハンバーガーダイナーでくつろいだり。
凄惨な戦場を仕事場にしながらも、彼女には守るべきささやかな家庭と幸せがある。
そんな彼女の周りを取り囲むのが個性豊かな仲間たち。中でも飄々としたアンジー、責任感の固まりのようなトバリ、新人のエータなどなど。
誰もかれもが強烈で印象深いキャラクター達です。
彼ら『レアメタル・ハンター』は日々クリーチャーを撃退し、街を守り続けています。しかしその敵も不意に進化ともいえる突然変異を成し遂げ、ギリギリの均衡を保っていた日常が崩壊していきます。
この辺り、SFならではの仕掛け、事件性が現れてストーリーが俄然面白くなっていきます。
そして物語をさらに面白くするのが重厚な人間ドラマと圧巻のアクションシーン。とくにスカイスーツと呼ばれる装備で、空中を自由自在に駆け回る様はお見事の一言。
ぜひ映像化で見てみたい文章なのですが……いや、文章だけで十分に脳裏に映像が展開されます!
この作者の作品ははっきり言ってどれを読んでも完成度が高く面白いです。
文章の読みやすさ、会話の軽快さ、アクションシーンのスピード感、長編ならではの重厚なストーリー展開。
是非読んで見てほしい作品です。
是非、読んでください。
迷う必要はなし。絶対に面白いから。
SFが苦手? 大丈夫ダイジョーブ。これはただのSFじゃありません。
笑いアリ涙アリ、魅力的なキャラクターが織りなす濃厚な人間ドラマに、息をもつかせぬ怒濤の展開。大きな謎と深遠な陰謀。予想を裏切る驚きやドキドキの恋愛要素、家族愛に仲間との友情。痛快爽快カタルシス。
小説を読んで感じる喜びのすべてが、これでもかと詰まっています。
もちろん、SFとしてのクールな世界観や華麗かつ大迫力の戦闘シーンも必見! 作者さまの桁外れな筆力のおかげで、脳内再生余裕です!
主人公のシュカは、スクラップから生まれたクリーチャーを狩る『レアメタル・ハンター』。通称「スパイダー・リリー」。(ほら、もうなんかカッコイイ!)
シングルマザーとしてひとり息子を育てながら働く、戦う公務員です。
クリーチャーをせっせと狩ってレアメタルを回収しては、息子のお迎えに急ぐ日々。辛い過去や職場の人間関係に悩まされながらも頑張るシュカさんは、本当に素敵。
ある日感じた、小さな異変。ちょっとした違和感。物語は大きくうねりながら、予想もしなかった結末へと走り出します。クリーチャーの正体は、秘密裏に進む陰謀とは、真の敵は誰なのか。そして最後の強敵とは…?!
「さぁ、さよならの時間だよ」
……うわーーーーーん!!(思い出し泣き)
読めばきっと、あなたもシュカさんの(あるいは他のキャラの)大ファンに。事ある毎に「オペレーション!」って言いたくなるはず。
周囲に人の居ないところで読む事をおすすめします。ハンカチとティッシュのご用意をお忘れなく!
戦争の影響で、レアメタルが枯渇しかけている世界。その国は、スクラップからレアメタルを回収しなければならないほど困窮していた。
ただし、その回収は命がけの仕事でもあった。スクラップが集結し凶暴に変異し、兵器としても通用しそうなそれを、屠らないと始まらなかったからだ。
この物語の主人公は、そんな世界にその身を置く紅一点。素敵で綺麗な女性であり、強くて優しい母なのだ。そして、最愛の人を、この仕事で亡くしているのは、哀しくもせつない。
日々、人々の暮らしを護り戦ってきた主人公たちが、ある陰謀に巻き込まれていく。
それは、攻め寄るスクラップたちの進化と、思いもよらない戦争への加担。
主人公たちは、それら、未知の敵に立ち向かっていくが……。
スクラップたちとの戦闘シーンはスピード感と迫力がある。愛する我が子を背中に庇うべきシーンは優しさが漂う。そして、愛する人を失うシーンは……、悲しみがこみ上げてくる。
そのすべてが絡み合った最後に、主人公が手にしたものはなんだろうか……。
スクラップ資源から「レアメタル」を回収するレアメタルハンター。
そのエースとして名を馳せるスパイダー・リリィ、カンザキ・シュカは、強く、美しい、シングルマザーだった。
戦う相手は旧時代の廃棄物から成る擬似生命体、通称スクラップ・ワーム。愛する息子のために彼女は近未来SF世界の空を駆ける。
取り巻く陰謀。死別した夫との過去。進化するスクラップ・モンスター。立ち向かうべき困難は積み重ね。
ヒーロー?
スーパーウーマン?
美しき戦士シュカが繋ぐ物語の果ては如何に!?
愛する息子、記憶の中の夫、頼れる上司、飄々とした同期、初々しい後輩、オカマッチョ――――色んなキャラクターが登場して、その誰もがキャラクターが立っています。
これはそんな彼らが紡ぐヒューマン・ドラマ。
さくっと読めちゃうオススメの作品です。
いつのころからか戦隊アニメのヒーローに女性が就任しています。
たとえば、セーラームーン、プリキュア。
彼女たちは「美」の付く少女です。
陽澄すずめ様の『レアメタリック・マミィ』の主人公、
カンザキ・シュカは「美」の付く母でありハンターです。
近未来を舞台に異質な外敵と対峙するシュカ。
彼女の戦いの朝は、ひとり息子のイチくんを保育園に連れて行くところから始まります。
女性が仕事を持ち、最前線で活躍することが珍しくなくなりつつある昨今、シュカのような朝のルーティンをこなしている御方も多いのでは。そう思える日常。そして、日常を支えるための仕事。
守るべきものを守るため、シュカは戦います。
己の弱さを乗り越えて、家族や同僚といった大切な存在が笑顔で生きる日常を守るため、戦います。
緊迫感に充ちるハンター生活と、ゆるやかなリラクゼーションをもたらす家庭生活。
大切な家庭生活に欠かせない存在を度重なって喪いそうになったときこそ、「此岸と彼岸を結ぶ花(スパイダー・リリィ)」というハンターネームで強く美しく舞うシュカ。
妻であり母でありレアメタルハンターである彼女の生きざまが、鮮やかに開花する世界です。
卓越した描写力で描かれる極上のSFヒューマンドラマです。
こころ抉られたい御方、必読。
“オペレーション!”
強烈なインパクトを持つこの言葉から始まる、壮大なSFヒューマンドラマ。
主人公のシュカがとにかく魅力的です。一流のレアメタル・ハンターでありながら、勤務時間が終われば大急ぎで子どもを保育園に迎えに行く、働くママ。カッコよすぎる任務遂行の時間と、子育てに奮闘する時間のギャップに現実感が滲み出ています。と同時に、彼女の持つ、ひとりの人間、ひとりの女としての苦しみ、迷いが描かれ、それが人物像に奥行きを持たせてくれます。
何のために戦うのか、何を守りたいのか。
人としてひとつ大きくなるための主人公の成長物語とも思えます。
近未来を思わせる舞台設定や世界観も素晴らしい。土台がしっかりと固められているため、そこで展開する物語の中へ安心してどっぷりと入り込んでゆけます。緊迫感のみなぎる戦闘シーン、ハンターたちの躍動感ある動き、その光景がまさに目の前に広がるかのようです。そしてどんどん明らかになって来る真実。ここまで来るともう物語に呑み込まれてしまうばかり。
シュカを取り巻く脇役陣もそれぞれに個性的で素敵です。なかでもやはり…アンジ。斜に構えたかっこよさがたまりません。
一文字、一句までぬかりのない、磨き抜かれた文章。鳥肌が立ち、ため息をつき、笑わされ、そして号泣……筆者の腕にまんまと感情を揺さぶられました。
このクオリティだからこそ、「文章で読む」楽しみを気づかせてくれました。
SFとしても、ヒューマンドラマとしても超一級のエンターテイメントです。