第17話きみといた夏

きみの名を呼ばないままで手紙さえもう届かないふたりの距離は


「赤色の着物似合う」ときみが云う夏遠くなり手紙を捨てる


図書館の職場体験のちに買う本は格別だったねきみと


数多ある本を買えずにメモをして書店を回るきみといた夏


「今は何読んでいるの」と尋ね合う日々がまぶしい傷つくほどに


だんだんと齟齬が生じていく距離にきみの名呼ばぬままでいたくて


カラオケに行ったよねよくアニソンを歌うふたりの明日はまばゆく

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【歌集】螢火抄 雨伽詩音 @rain_sion

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