エピローグ さらなる力を求めて

俺は情報を得ることを優先することにした。

つまりは選択肢Bを選ぶってことだ。選択肢Bには、《直毅は学園長を説得し、氷像化した人間を不死者化すると同時に、石像に閉じ込められたすべての魂を捧げて魔法「サモン:エンジェル」を使用する。強力な天使が召喚されるとともに、捧げられた魂の安寧が保証される。直毅は関連する複数の性格特性が強化されるほか、種族「使徒」を獲得する。》などとある。

さて、まずはどう学園長を説得したものか?


「学園長。こういうのはどうだ? 氷像は解凍し、死霊魔法で不死者にする。俺の命令には服してもらうが、もとはこの学園の教師や生徒だ。なるべくセフィロト女子の利益にもなる形で運用しよう」

「そういう話をしているのではありません」


学園長は首を振る。

そりゃそうだ。この白魔術師が利益に釣られて魂を冒涜するような所業を認めるはずがない。

しかしこれは前フリにすぎない。


「だが、それならどうするっていうんだ? 氷漬けのまま彼女たちを葬るつもりか?」

「そ、それは……」

「もちろん、彼女たちもこの学園を守るためなら不死者になっても怨まないはずだ……なんて綺麗事を言うつもりはねえよ」


俺が現役の高校生だった時に、もし「不死者として蘇り、学校のために戦ってくれ」などと言われたら、まず間違いなく「クソくらえ!」と答えてる。いや、当時の俺の性格じゃそんなことは思っても言えなかっただろうが、怨んだだろうことは間違いない。みんなのためと周りは言うが、じゃあおまえらは俺のために何をしてくれたというのか? ひどいいじめを受けても見て見ぬ振りで過ごしてきたくせに、困った時だけ「one for all」などと抜かし出す。そんな連中のためにあの世から呼び戻されてはたまらない。


「でも、あんたにはまだ生きている教職員や生徒たちを守る義務があるはずだろう? それとも、こんな世界になった以上、教育者の責務なんかどうでもいいとでも言うつもりか?」

「……もちろん、そんなことを言うつもりはありません。わたしがこの学園を創ったのは現世的な利益のためではないのですから」

「ならなおさら、使えるものは使うべきだ。たしかに抵抗はあるだろう。不死者として蘇ったかつてのクラスメイトや同僚を周りが受け入れられるかって問題もあるな。だが、そうした問題を補って余りあるだけの力が得られるはずだ。それによって救われる命もあるだろう。もし状況が改善するようなら、その時には丁重に死者として葬ってやればいい。それまでは申し訳ないが死者の力を貸してもらおう」

「……ものは言いようですね」

「実際、ものは言いようだ。だが、これはけっして口先でごまかそうという話じゃない。死者には敬意を払いつつも、やむなくその力を貸してもらう。たしかに褒められたことじゃないのかもしれないが、実際問題として必要なことだ。あんたも組織の長ならーーいや、魔女のネットワークの主宰者だというのなら、白黒はっきりつけられない状況があることはわかるだろ?」

「そう……ですね」


学園長が深く長いため息をついた。


「代わりと言ってはなんだが、石化した身体に閉じ込められた魂については安寧を保証してやれる。その魂を天に捧げて天使を召喚するんだ。俺も詳しいことはわからないが、天使は死者の魂を安寧に導いてくれるらしい」

「なんじゃと!? マスターは天使を召喚するというのか!?」


俺の言葉に反発したのは、学園長ではなくベルベットだった。


「そうだが……何か問題があるのか?」

「い、いや、問題があるわけではないが。悪魔と天使は相反する存在じゃ」

「まさか、力を打ち消しあう、とか?」

「そのようなことはない。単に相容れぬというだけのこと」

「戦力にはなるんだろ?」

「う、うむ。ここにある石像と化したものどもの魂をすべて捧げるのであれば、妾とほぼ同格の天使が喚び出せるであろう。しかしじゃな」


ベルベットが言葉を切った。


「天使は悪魔とは似て非なる存在なのじゃ。そもそも、天使は人には従わぬ。天使が従うのは神のみじゃ。ゆえに、天使を悪魔同様の感覚で使役することはできぬ」


最初に引っかかったのは「神っているのか?」ということだったが、話がややこしくなりそうなので実用的な質問を優先することにした。


「じゃあどうやって召喚した天使を『使う』んだ?」

「方策はいくつかある。この場合は『祈り』であろうな。ヒイラギルリに虐げられ無念のまま死んだ亡霊たちの祈りによって、天使の来臨を願うのじゃ。『祈り』の質と量によって天使の格や使役できる期間が異なってくる」

「期限付きなのか。そういえばベルベットには期限はないのか?」

「妾はマスターが死ぬ時まで付き従おうぞ。なに、悪魔にとってはさしたる時間ではない。というよりも悪魔というのは時間を超越した存在なのじゃがな。過去にも未来にも妾はおる。妾の本来の力があれば、過去も未来もすべての事象を見通すことができるのじゃが、マスターといえど肉ある器に召喚されておる限りでは不可能であろう」

「天使の召喚期間はどのくらいかわかるか?」

「さて、さすがにそこまではわからぬよ。ただ、一般的にはごく短い期間であるな。最短であれば一瞬ということもありうる」

「一瞬って……それで何ができるんだよ?」

「そう馬鹿にしたものでもない。世界で奇跡と呼ばれることの一部は、天使の一瞬の来臨によるものじゃからな」

「俺の場合一瞬じゃ困るな」


俺とベルベットの会話に、学園長が口を挟む。


「あの……そんなことが可能ならば、天使のもたらす奇跡によってセフィロト女子の犠牲者を復活させるようなことはできないのですか?」

「それはできぬ。神の御子みこの復活ですら、史上類を見ない一度限りの奇跡だったのじゃ。ただの人間を生き返らせるようなことを神はせぬ。おぬしも言っておったではないか。運命とはそうしたものであると」

「そ、それは……」


都合のいいことを言ったと思ったのだろう、学園長が唇を噛む。


「マスターの場合であるが、一瞬ということはあるまい。ただ、一週間か一月ひとつきか……一年はさすがに望めまいな」

「それなら戦力としては微妙か」

「そうでもない。天使が地上におるあいだに堕落させてしまえばよいのじゃ」


そう言って「きししっ」と悪魔が笑う。


「さあ、そうと決まればさっそく天使めを喚び出してやろうではないか」


舌舐めずりをするベルベットを尻目に、俺は召喚魔法の準備にとりかかったーー





悪魔と天使に加え、俺はセフィロト女子のめぼしい覚醒者を眷属にし、死者のうち魂の残っていたものを不死者に変えた。

十分すぎる戦力を手にした俺は、その後一週間ほどかけて南浅生みなみあそうで着実にモンスターを狩っていき、俺のアイテムボックスにはうなるほどのアイテムが溜まっていく。

もちろんセフィロト女子は母親の固有スキル「セーフハウス」で聖域化したので、モンスターや侵入者の心配をする必要はない。

「カリスマ」「魅了」「支配」「誘惑」「邪婬」などの性格特性に加え、吸血によって二十代後半くらいの容姿を取り戻した俺は、「能弁家」「虚言癖」などの効果もあってか急速にセフィロト女子内での支持を獲得していた。小山の大将を気取る気はなかったが、無用な反発がないに越したことはない。近すぎず遠すぎずの距離を置いて最低限の関係を維持している。


南浅生の隕石落下地点周辺はずっと霧が立ち込めていて見通しが悪かった上に、近づけば近づくほど強力なモンスターが現れる。

「天の声」の告げるところによれば、隕石に接近しその正体を探ることはかなり重要なことのようだった。なにより、俺自身興味がある。今回の一連の災厄をーーいや、福音・・をもたらした「隕石」とはなんなのか? ネットでの情報収集はセフィロト女子の一般生徒でチームを作って担当させているが、今のところ隕石そのものについての情報はない。何か情報統制でもかかってるのか、それとも誰もまだ隕石を詳しく調査することができていないのか。いずれにせよ、「世界の分断」という俺の目的を達する上で隕石の素性をいち早く掴むことは最優先事項といっていい。俺には「天の声」のお告げもあるし、悪魔であるベルベットと天使であるルーシアもいる。


「この先だな」


俺は立ちはだかった巨大な両頭蛇・アンフィスバエナを爆縮魔法「エクスプロージョン・シュラウド」で葬ると、背後の仲間たちを振り返る。

真那、芳乃、咲希、香織という馴染みのメンバーは、ホークベアとハンマービーク、イーヴィルアイというなかなか面倒なモンスターの群れを、着実な連携で完封していた。

その戦いを暇そうに眺めていたベルベットとルーシアは、暇がすぎたのか、またいつもの口喧嘩を始めている。


「ベルベット、ルーシア。行くぞ」


俺は声をかけて濃い霧の中を進んでいく。風では払えないこの霧の中は、あきらかに空間が歪んでいる。地図上ではとっくに霧を突き抜ける距離を進んでいるにもかかわらず、まだ霧の中央に達していないのだ。だが、「時空」の魔法適性のある俺や、悪魔であるベルベット、天使のルーシアには空間の歪みが見て取れる。歪みは一定ではなく、しかもところどころにループがあるが、今の俺たちなら問題なく目的地への直線距離を進んでいける。


「使徒さまぁ。そろそろ抜けると思います〜」


気が抜けるような間延びした声で、ルーシアが言ってくる。天使であるルーシアは、光り輝く金髪とまなじりの垂れた大きなあおい目をもつおっとり系の美少女だ。白くふっくらした素肌の上に直接纏ったギリシア風の薄いトーガを、大きな胸と尻が押し上げている。頭の上には光の輪が浮かび、背中には一対の白い翼が生えている。ベルベットがスレンダーで折れそうなほどに華奢な印象を与える危うい感じの美少女なのに対し、ルーシアはスタイル抜群の癒し系の美少女だ。だが、この二人はおそろしく仲が悪かった。


「ふん、マスターならば言わずとも察していよう」

「念のためですよ〜。他のみなさんには注意が必要でしょうし〜。悪魔には他人に気を配ったりなんてできないかもしれませんけどね〜?」

「この腹黒天使めが。その間の抜けた口調でしゃべっていれば何を言っても角が立たないとでも思っておるのか?」

「あら〜? おっしゃる意味がよくわかりませんね〜。やっぱりわたしは天使?ですから〜? 次元の低い言葉はよく聞こえなかったりするんです〜。聞く必要もないのでとくに気にしてはいないですけど、もしベルベットさんが低次元なお話をされているのでしたらごめんなさいね〜?」


もはやこうなるとルーシアの口調は煽りのようにしか聞こえない。ベルベットはため息をついて無視を決め込むことにしたようだ。


全然関係のない話だが、俺はこの二人を最近抱いた。

最初はルーシアから迫ってきた。その現場をベルベットに目撃され(というかルーシアが故意に見せつけて)修羅場となり、二人まとめてお相手する羽目になったのである。いきなり3Pとは年代物の童貞には荷が重い状況だと思ったが、性格特性のおかげか、あるいは単純に体力がついたせいか、最後まで立って(何がとは言わないが)いたのは俺だった。

そのことを口の軽いルーシアから聞かされた北条真那と西園寺芳乃が怒り狂い、興味本位の千南咲希まで巻き込んで、その翌日には4Pに。さらに何人かの眷属や眷属でない一般生徒まで巻き込んで……と、ここ最近の俺は爛れた生活を送っていた。


「おや、マスターがよからぬことを考えておるな」

「え〜、困りますね〜。さすがにこんな場所で致すのは危険があるんじゃありませんかぁ〜? まぁ、マナ先生たちにモンスターを任せながら、こっちはこっちで愉しむのも興奮するかもしれませんけど」

「……いや、いくらなんでもそんなエクストリームな屋外プレイはしないから」


眷属が戦うのを眺めながら後ろでヤるとかどんな変態だよ。ベルベットは絶対ルーシアを堕落させると息巻いていたが、この天使は素で堕落してるようなもんだった。逆にベッドの上ではベルベットのほうがよっぽど初心うぶで、普段とのギャップでいっそう燃える。しかしルーシアのねっとりとしたご奉仕もそれに負けない魅力があった。


って、今はそんな話をしてる場合じゃなかった。

俺がさらに足を進めると、霧がゆっくりと晴れていき、頭上に青い空がのぞいてきた。夜間のほうが俺の戦闘力は上がるのだが、不死者でない眷属たちは人間と同じく昼型だ。セフィロト女子で寮暮らしを送ってきたうら若き女性陣に夜型生活を強いるのはどうかということもあり、モンスター狩りや探索はおもに昼間に行なっている。今のところ夜の俺(エロい意味ではなく)でなければ太刀打ちできないような脅威もない。

晴れ上がった空の下には、大きく陥没したクレーターがあった。クレーターは直径1キロ弱と聞いている。墜落地点は南浅生の東寄りの地点だが、その衝撃だけで中心街が壊滅した。今俺たちがいるのは旧中心街付近から霧の中に入り、奥へと進んだ地点である。


目を凝らすと、クレーターの中心に奇妙な物体が見えた。紫色の光るキューブ。大きさは20メートル立方くらいだろう。俺が描く魔法陣をより精緻にしたような模様がすべての面にびっしりと刻まれている。魔法陣というよりはもはやコンピューターの基盤のようだった。


「セフィロト女子に堕ちたものとよく似ています。サイズはこちらのほうが大きいですが」


真那が後ろから言ってくる。隕石の多重墜落の際に、セフィロト女子にも小さな隕石が落ちている。その隕石はモンスターをいくらか生み出したあと、力尽きたように砂と化したという。


「ベルベット、ルーシア。何かわかるか?」

「ふぅむ。見たこともないの」

「わたしもです〜。でも、奇妙な物体ですね〜? いえ、『物体』と呼ぶのが適切かどうかもわかりません」

「遺憾ながら同意せざるをえんな。半ば現実に、半ば異界にあるような存在じゃ。悪魔や天使のおる次元とはまた別の世界とつながっておるような……」

「あら〜? お粗末な分析ですね〜。わたしにはあれは触媒に見えますよ〜」

「触媒?」


ルーシアの煽りに青筋を立てるベルベットを制し、ルーシアに聞く。


「この世界をべつの世界と結びつけ、反応させて『えん』を生むためのものなんじゃないでしょうか。神様が最近デリートした世界的なバグ『賢者の石』に似てますね〜」

「最近っていつのことだ?」

「数百年くらい前でしょうか〜。どうせ人間には気づかれないバグだからということで長らく放ったらかしだったんですが、アイザック・ニュートンとかいう小生意気な錬金術師が錬成に成功しかかって、慌ててホットフィックスをかけたんですよ〜」

「……詳しく聞くと頭が痛くなりそうな話だな。じゃあ、あの隕石がモンスターを異世界から喚び出してる、と?」

「正確には、二つの世界の要素を反応させてその結果としてモンスターが生まれるという仕組みだと思います〜。塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜると塩化ナトリウムができますよね〜。それと同じで、生成されたモンスターはどちらの世界にも存在しないものなんです〜。きっとこの世界の想像力が向こうの世界のなんらかのリソースと反応するんでしょうね〜。興味深い現象です〜」

「危険がないようなら近づいてみるか」


俺たちはクレーターの斜面を下り、地面にめり込んだ「隕石」へと近づいていく。

近づいてみると、隕石は見上げるほどに大きかった。なにせ、一辺20メートルの立方体だからな。角のひとつが地面に刺さった状態で立っていて、正面からは菱形に見える。

俺たちが近づくにつれて、その菱形の足下に、紫のもやが集まり始めた。それは渦状星雲のようなうずを巻きながら、徐々に形を整えていく。


「あれはなんだ?」

「ほう……さしずめ、異界への門といったところかの」

「異界への門? その異世界とやらにつながってるのか?」

「いや、そうではないようじゃ。ルーシアの申したように、あの隕石はあくまでも触媒なのであろう。二つの世界の相互干渉の結果として、いずれの世界にも属さない第三の世界があの先に生まれておるのじゃ。あの門もまた触媒が反応を促すことで発生した『塩』なのであろうな」

「人の考察に乗っかってドヤ顔しないでくれませんかね〜。でも、わたしの・・・・考察から導かれる通り、あれはたしかにそうしたものですね〜」

「第三の世界……」

「世界というにはごく小さなものじゃがな。中におるのは同じく『塩』であるモンスターだけであろう。じゃが、あの中におるモンスターのほうが、外にいるモンスターよりも強力なはずじゃ」


ベルベットの言葉に、俺はようやく合点がいった。


「ああ、要するに、ダンジョンなのか」

「そういうことですね〜。ロープレのダンジョンそのものです〜。もっと力が欲しいという使徒さまの願望にあの隕石が応えちゃったんでしょうね〜」


俺たちが注意深く見守っていると、紫のうずは回転軸を斜めに揺らしながら旋回し、やがてその天面をこちらに向ける格好で安定した。まるでここから中に入れと促すかのように。


「あれって、入ったら出られる保障はあるのか?」

「まだ若く不安定な世界のようじゃからの。妾やルーシアであれば強引に破って出ることもできるであろう」

「そんなことしたらせっかくのダンジョンが壊れちゃいますよ〜」

「ならどうするというのだ? そう言うからには代案があるのじゃろうな?」

「代案というほどではないですけど、なんとなく、使徒さまなら魔法でなんとかできるんじゃないかな〜って思いますよ。ダンジョンから脱出する魔法的な〜?」

「そんなゲームみたいな……」


《亥ノ上直毅は、性格特性「妄想」「解脱」「現実主義」「直感」「分析家」「智識」、魔法適性「時空」「次元」「召喚」、種族「越境者」「魔術師」「使徒」を生かし、ダンジョンについての洞察を掘り下げることにした。》

《行動判定:成功S。》

《亥ノ上直毅は、ダンジョンと魔法「アイテムボックス」に類似点を見出し、比較することによってその特性を類推した。第一に、ダンジョンの出入り口であるあの「門」は相互通行可能な構造になっている。中に入ることができるならば、中から外に出ることもできるだろう。第二に、ダンジョンの「壁」を破って脱出することは、ベルベットやルーシアには可能である。だがその場合にはダンジョンを構成する世界が崩壊し、二度と入ることはできなくなる。第三に、直毅は性格特性「分析家」「智識」、魔法適性「時空」「次元」「召喚」「浸透」、種族「越境者」、魔法「マジックサーチ」「アイテムボックス」「イローシブ・コラプト」を組み合わせ、ダンジョンから脱出するための魔法「エスケープダンジョン」を編み出した。第四に、ダンジョン探索を見据え、直毅は同様の魔法適性や魔法からダンジョン内の構造を自動で脳内にマッピングする魔法「オートマップ」を編み出した。》


「……できるみたいだな」


「天の声」は、まだ入るともなんとも言ってないのにしれっとマッピング魔法まで追加してきた。「天の声」パイセンは入る気満々のようである。

話すあいだに、俺たちはダンジョンの「門」の前へとやってきた。途中で虚空にアンフィスバエナが湧き出したが、俺の魔法で片付ける。


「帰り道の心配がないなら、一度試しに入ってみるか。危なそうだったらすぐ撤退するからな」


俺たちはダンジョン前で食事と休憩を済ませ、装備を確かめてから、覚悟を決めて紫の渦の中へと飛び込んだ。



《亥ノ上直毅は、さらなる力を求めて未知のダンジョンへと足を踏み入れた。直毅は、ダンジョンの探索を重ねることで飛躍的に力を増すだろう。直毅は、来たるべき「世界」との対決に備えようとしている。人類を分断し「群れ」を作らせないことでおのれにとって都合のいい生存圏を将来にわたって確保する――直毅の途方もない夢想が実現するか否かは、さしもの私にも見通せない。》






FIN.



◇最終ステータス

―――――

亥ノ上直毅

覚醒者、吸血鬼、越境者、魔術師、使徒、武芸者

固有スキル:天の声

武器適性:投・射・杖・牙・爪・鎌・体・玉・触・斧・盾・刀・槌・剣・乗・二刀・薙刀・三節棍・短剣・鎖

魔法適性:死・召・援・妨・時・次・吸・闇・氷・火・回・風・陣・融・造・浸・風・地・光・呪・聖

性格特性:邪悪Ⅴ+、開き直りⅤ+、現実逃避Ⅴ+、妄想Ⅴ+、寄生Ⅴ、冷血Ⅴ、夜行性Ⅴ、利己主義Ⅴ、人間洞察Ⅴ、厭世Ⅴ、解脱Ⅳ、現実主義Ⅳ、智識Ⅳ、邪婬Ⅳ、誘惑Ⅳ、快楽主義Ⅳ、カリスマⅣ、直感Ⅳ、魅了Ⅳ、克己心Ⅲ、勇猛Ⅲ、正義感Ⅲ、慈愛Ⅲ、支配Ⅲ、マキャベリズムⅢ、愛欲Ⅲ、用意周到Ⅲ、理想主義Ⅲ、分析家Ⅲ、虚言癖Ⅲ、自己犠牲Ⅱ、嗜虐心Ⅱ、不屈Ⅱ、無謀Ⅱ、威圧Ⅱ、偽善Ⅱ、マイペースⅡ、能弁家Ⅱ、パラノイアⅠ、アドリブⅠ、努力Ⅰ、圧倒Ⅰ、聖者Ⅰ、敬虔Ⅰ、不動心Ⅰ、アナーキストⅠ、器用Ⅰ、マルチタスクⅠ、陰陽の理Ⅰ

魔法:「インスペクト」「リキッドドレイン」「アイテムボックス」「マジックサーチ」「アポート」「マジックアブソーブ」「ダークフォグ」「ダークファング」「ブラッドスピア」「イノセントクラウド」「スリープクラウド」「ポイズンクラウド」「デスクラウド」「スロウクラウド」「アンガークラウド」「ブラインドクラウド」「デプレッションクラウド」「オーダサティ」「ヘイトレッドクラウド」「オーバーサスピシャス」「サイレントクラウド」「クロックアップ」「ソリッドバリア」「ドレインクラウド」「アンチインスペクト」(略)「アイシクルレイン」「ファイヤーボール」「ヒール」「アブセントスフィア」「デバフクラウド」「キャッチ」「キラーパス」「ウィンドスラスト」「サンドストーム」「アイスランス」「ライト」「フラッシュ」「フレイムランス」「ストーンバレット」「ストーンブラスト」「テイルウィンド」「ピュリファイ」「ダークヴォイド」「テラークラウド」「テラーペトリファイ」「フロストバイト」「コキュートス」「クリエイト:キラーソード」「トランキライズ」「リヴァイヴ・ソウル」「ウォームエンブレイス」「エクスプロージョン」「エクスプロージョン・シュラウド」「ジャッジメントアロー」「ソウルバインド」「クリエイト:ゴーレム」「イローシブ・コラプト」「サンクチュアリ」「クリエイト:スピリット」(略)「エスケープダンジョン」「オートマップ」

技:「ナイフスロー」「精密射撃」「五月雨撃ち」「ポイズンクロー」「ブラッディファング」「ソウルリッパー」「獣化:ウェアウルフ」「特攻」「ナイトハント」(略)「魔法陣」「魔法融合」「詠唱破棄」「八艘飛び」「武器ガード」「抜刀術・花霞はながすみ」「抜刀術・斬鉄」「白刃取り」「猛攻」(略)「獣化:ブラッドバット」「獣化:血煙」「祈る」「聖剣技・ヨハネの剣」「聖盾技・ペテロの防壁」「武器パリング」「抜刀術二刀・凶字重ね」「抜刀術二刀・曼珠沙華」

E:「テンタクルウィード」「追儺の太刀」

予備装備:「地獄の牙」「地獄の爪」「地獄の魔玉」「悪鬼の太刀」「古びた大鎌」「唐獅子の三節棍」「仁王の薙刀」「メタルブーメラン」「微睡みの短剣」他

―――――


最後までお読みいただきありがとうございました。

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親が死んだひきこもり、人生詰んだと思ったら詰んだのは地球の方だった件 〜モンスターがあふれるようになった世界で人生逆転狙います〜 天宮暁 @akira_amamiya

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