二十三曲目『これがオレの筋肉道』

「オラァッ!」


 右足を踏み込み、全身の力を込めて右拳をヴィゴーレの腹に喰らわせた。

 ミチミチとオレの拳が腹にめり込むが、ヴィゴーレはニタリと余裕そうに笑う。


「無駄無駄ァッ!」

「ちぃッ!」


 ヴィゴーレは腹筋を膨らませてオレの拳を弾き飛ばすと、右の振り下ろしチョッピングライトを放ってきた。

 舌打ちしながらバックステップで避けると、ヴィゴーレは地面に拳を打ち付ける。

 そして、爆音と共に砂が破裂した。


「貴様の攻撃など、俺様の肉体には効かぬと何度言えば分かるッ!」

「__ウラァァァッ!」


 ムキッと筋肉マッスルを盛り上がらせて叫ぶヴィゴーレを無視して、また懐に飛び込んだ。

 ギュッとステップインして、全力で腹にワンツーを叩き込む。

 

「フンッ!」


 だが、また膨らんだ腹筋によって弾かれた。

 反撃にラリアット気味に薙ぎ払われた右腕を、しゃがみ込んで避ける。


「ウルァッ!」

「むッ!?」


 そして、曲げた膝を一気に伸ばしながら跳び上がり、ヴィゴーレの無防備な顎にアッパーを打ち込んだ。

 さすがのヴィゴーレも顎が僅かに跳ね上がり、顔をしかめる。


「小癪なぁッ!」

「うおッ!?」


 ヴィゴーレはギリッと歯を鳴らすと跳び上がっていたオレの腕を掴んで、力任せに投げ捨てた。

 吹っ飛んだオレは空中で姿勢を変え、足から地面に着地。

 ズザザザッと砂を撒き散らして滑り、勢いを殺した。


「ま、だ、だぁッ! <アレグロ!>」


 地面を滑ってようやく止まった瞬間、敏捷強化アレグロを使ってヴィゴーレに向かって走り出す。

 ハイスピードでヴィゴーレの目の前まで移動して、拳を握りしめた。


「<エネルジコ><スピリトーゾ><クレッシェンド!>」


 拳を振り上げながら、連続で魔法を使う。

 筋力強化エネルジコをスピリトーゾでさらに強化してから、ヴィゴーレの腹に拳をめり込ませた。


「必殺! ウォレスラッシュ! ウォォララララララララララララッ!」


 一撃で終わらせねぇ。

 オレの必殺技、ウォレスラッシュで叫びながら連続で拳をヴィゴーレの腹に叩き込む。

 クレッシェンドの効果で殴る度に威力が増すオレのラッシュに、ヴィゴーレの体が徐々に後ろに下がっていった。


「ぬぅッ! いくら叩き込んでも無駄だッ!」


 ヴィゴーレはオレにめった打ちにされながら、右拳をググッと振り被る。

 そして、力強く足を踏み込むと、振り被った右拳を突き出してきた。


「オォォォォォォラァァァァァァァァァァッ!」

「__ちぃッ!」


 うねりを上げながら向かってくる右拳に、ラッシュを止めて左にサイドステップして避ける。

 外したヴィゴーレの一撃は衝撃波となって砂の地面に一直線に割りながら放たれ、離れた場所にある壁を粉砕した。

 避けても襲ってくる暴風のような風圧に耐えて、ヴィゴーレに向かって飛び込みながら拳を振り上げる。


「<フォルテッシモ!>」


 一撃超強化フォルテッシモを使ってから、右拳をヴィゴーレの頬にめり込ませた。

 ドゴンッと重い音を立てて振り抜いた拳に、ヴィゴーレの体がよろめく。


「う、ぐぅ……?」


 倒れなかったヴィゴーレだが、困惑した表情で殴られた頬を撫でていた。

 そして、ヴィゴーレの口角から一筋の血が流れる。


「き、さま……『超強力な拳の鉄拳』を避けたばかりか、俺様に傷を付けただと……?」

「ハンッ、センスのねぇ技名だな。それより、ヴィゴーレ」


 というか、拳って言葉を二回使ってんじゃねぇよ。

 理解が追いついてねぇヴィゴーレを指差しながら、ニヤリと笑った。


「まずは、一発ワンヒットだ」


 挑発してやると、ヴィゴーレはギリギリと歯を鳴らしながら顔を真っ赤にする。

 怒りに筋肉マッスルが膨張していくと、地面を思い切り踏み抜いた。


「調子に乗るなよ貧弱野郎がぁッ! たった一発でいい気になるなぁぁぁッ!」


 砂を巻き上がらせながら向かってきたヴィゴーレは、オレに殴りかかってくる。

 それを、オレは冷静クールに避けた。


「__アァアァァアァァァァァッ!」


 ビーストのような雄叫びを上げ、ブンブンッと拳を振り回してくる。

 右からの攻撃をしゃがんで避け、振り上げられた拳をスウェーで躱して、左ストレートを首を曲げてギリギリで避けた。


「ヘイ、どうしたどうした? そんな攻撃じゃ欠伸が出るぜ? 少しは落ち着けよクラムダウン

「ウガアァァァァッ!」


 パンパンッと手を鳴らして挑発してやると、面白ぇぐらいに怒り狂いながら殴りかかってくる。

 頭に血が上ってるせいで、攻撃のリズムが単調だ。

 逆に、オレは頭に上っていた血がいい感じに流れたことで、かなり冷静クール

 どこかでピンチな仲間のこと、こいつが仲間に手を出そうとしたこと、あんまり時間がねぇこと……色々あって考えすぎていた。

 だが、違う。オレにはそんな考えるような頭脳なんてねぇ。


 オレの戦い方バトルスタイル本能インスティンクト。ごちゃごちゃ考えねぇで戦うのが、オレのやり方だ。


 そういや、前にロイドと戦った時も同じようなことを言われてたな。


「バカがごちゃごちゃ考えるな。本能に身を任せろ__だったな」


 そんなに経ってねぇのに、昔のことに思えるな。

 自然と笑みがこぼれ、頭ん中で何かがカチッと何かが噛み合ったような音が聞こえた気がした。


「ヘイヘイ! どうしたどうした! カモン、見せ筋野郎ッ!」

「ガァァァァァアァァァァッ!」


 攻撃のスピードがさらに上がる。

 太い腕がうねりを上げ、暴風を巻き起こしながら嵐のような連打が襲いかかってきた。

 それを、考えるんじゃなくて直感で避け続ける。


「オラァッ!」

「グッ!?」


 だが、ただ避けてるだけじゃ勝てねぇ。

 避けながらカウンターで拳を顔面に叩きつけてやった。

 少し怯んだヴィゴーレだが、またすぐに連打を繰り出してくる。


「グッ!? ダラァッ!」

「ゴッ!? ガァッ!」


 ヴィゴーレの拳が、頬を掠めた。頬に刻まれた傷から、血が噴き出す。

 それでも、オレは拳を叩き込んだ。


「__ウォォラアァァァァッ!」

「__ガアァァァアァァァッ!」


 また掠めて、血が噴き出す。

 どんどんオレの体に傷が刻まれ、血だらけになっていった。

 だが、オレのカウンターでヴィゴーレも顔が腫れ、血を流している。

 一撃でも喰らえば終わり。なら、喰わなきゃいい。


 本能インスティンクトのままに、考えずにドントシンク感じろフィール


 一進一退の攻防の中で、ヴィゴーレがいきなりリズムを変えてきた。


「これでもぉぉ! 喰らえぇぇぇぇぇッ!」


 右の振り下ろしチョッピングライト

 振り上げた右拳がオレに向かってくるのを見た瞬間、オレの体は自然と動いていた。

 思い切り体を仰け反らせ、そのままブリッジする。オレの鼻先スレスレを、ヴィゴーレの拳が通り過ぎた。

 通り抜ける暴風に瞼や唇がめくれ上がり、衝撃に体が吹き飛びそうになる。


 __だったら、その衝撃を逆に使ってやろう。


 ブリッジした状態で衝撃に身を任せて、そのままバク転する。

 そして、振り上げた両つま先をバク転しながらヴィゴーレの顎に喰らわせた。


「オゴッ!?」


 衝撃による勢いを使った視覚外からの一撃に、ヴィゴーレは顎をかち上げて口から血を吐く。

 そのままバク転して足が地面に着地した瞬間、オレは跳び上がった。


「ウゥゥォォォォレェェェスゥゥゥゥゥ!」


 跳び上がりながらヴィゴーレに背中を向けるように回転して、体を捻る。

 顎をかち上げられて仰け反っているヴィゴーレの頬に向かって__ッ!


「__キィィィィィィィック!」

「ブボォッ!?」


 ローリングソバットを、叩き込んだ。

 メリメリとオレの靴底が、ヴィゴーレの頬にめり込んでいく。


「__テイヤアァァァァァァッ!」


 そして、そのままオレは足を振り抜いた。

 重い轟音と共に吹き飛んだヴィゴーレはゴロゴロと地面を転がっていき、最後は壁に激突する。

 衝撃に壁が崩れ、ヴィゴーレは瓦礫と砂煙に飲まれていった。 華麗に着地したオレは、拳を天井に向かって伸ばす。


「ハッハッハ! どうだ、この見せ筋野郎!」


 かなりの手応えがあった。いや、蹴ったから足応えか? 

 まぁ、どっちでもいい。とにかく、完璧パーフェクトなキックだった。

 天井を見上げながら笑っていると、フラッと足がよろける。


「っとと……さすがに、血を流しすぎたな……」


 ダメージを自覚した途端、一気に体中が痛い。

 だが、ヴィゴーレは倒した。少し休んでから、あいつらを探しに……ッ!?


「なッ!?」


 ヴィゴーレがいるところから、爆音が響くと瓦礫が吹き飛んだ。

 目を見開いて見つめると、そこにはヴィゴーレの姿があった。


「ゼェ、ゼェ、ゼェ……この、クソ野郎がぁ……何を、勝った気でいるのだ……」


 砂だらけの体が、さっきよりも一回り以上もデカくなっている。

 筋肉マッスルに血管が浮かび上がり、肌がオーガのように赤黒く染まっていた。

 体からは魔力が噴き出し、厳つい顔をさらに厳つくさせて怒りを露わにしたヴィゴーレが、オレをギョロリと睨む。


「ここまで、この俺様を追い詰めた貴様に、見せてやろう……俺様の、本気の姿を!」


 そう言うとヴィゴーレは魔力をさらに噴き出させ、盛り上がった筋肉マッスルが皮膚をパンパンに張り詰めていく。

 そして、ヴィゴーレはクラウチングスタートを取ると、真っ直ぐにオレを見据えた。


「魔法の才能がない俺様の、唯一の魔力の使い方……それは! 度重なる人体実験で改造を施したこの肉体を! さらに硬く強靭に強化することだ!」


 声を張り上げたヴィゴーレは、爆音を轟かせて突進してくる。

 そのスピードは、相当速い。

 後ろに砂嵐サンドストームを巻き起こしながら向かってくるヴィゴーレに、オレは反射的に側転してその場から離れた。


「__うぉぉぉぉッ!?」


 だが、通り抜けた時の衝撃と砂嵐サンドストームによって、体が吹き飛ばされる。

 錐揉みしながら吹き飛んだオレは地面を転がり、滑りながら勢いを殺した。

 同時に、ヴィゴーレが突進した壁の方から爆音が鳴り響く。

 グラグラと地面が揺れ、亀裂が入った天井からパラパラと破片が落ちてきた。


「おいおい、マジかよアーユーシリアス?」


 ヴィゴーレが突進した壁には、デカイ大穴が開けられていた。

 あまりの威力に、思わず顔が引きつる。

 すると、砂煙の中からヴィゴーレが現れた。


「フゥン、本当にすばしっこいな。だが、そう何度も避けられまい。俺様は何度でも、貴様を殺すまでこの突進__『超最強な筋肉の砲弾』を喰らわせてやる」


 ふざけた技名だが、その威力は半端ねぇ。

 あんなの喰らえば、ドラゴンだろうと一撃だ。


「生身で喰らえば体がバラバラになっちまう。だが、魔法を使ったところで意味がねぇ。どうする、どうする……」


 必死にない頭をフル回転させて、どうやって勝つかを考える。

 だが、一向にいい考えが思いつかねぇ。

 どうすればいいんだ? どうするのが正解なんだ?


ちくしょうダム! 全然、思いつかねぇ……どうすりゃいいんだ……ッ!」


 考えろ。あいつらならどうする?

 やよいは、無理だ。

 サクヤも、無理だろう。

 真紅郎は、あいつならいい作戦を思いつくか? だが、ここにいねぇ。

 だったら、タケルなら__。


 __ウォレス、いいか? この技はな……。


「__ッ!」


 ふと、タケルの声が頭の中に響いた。

 そして、それはある日の光景__アスカが住んでる神域での修行の時だ。

 オレは、タケルに頼み込んであること・・・・を教えて貰った。


「は、ハッハッハ……」


 その時のことを思い出したオレは、思わず笑う。

 こういう土壇場の時に思い出すなんてな。まったく__。


「__サンキュー、兄弟ブラザー!」


 頼りになるぜ、タケル。

 すぐに魔装を展開して、二本のドラムスティックを両手に握りしめる。


「フゥゥゥゥゥゥ……」


 短く長く息を吐いて、集中コンセントレート

 この技・・・に大事なのは、集中力。そして、緻密な魔力コントロールだ。

 ゆっくりとドラムスティックに魔力を伝え、魔力刃を作り出した。


「何をするつもりなのかは知らんが……無駄だ。これで、貴様は終わりだ」


 ヴィゴーレが何か言ってるが、無視する。

 今はこっちに専念しろ。


『ウォレスって、ドラムスティックに魔力刃を作り出してるよな?』

『それを意識して使ってみれば出来るんじゃないか? 魔力を均一に出来れば、攻撃の鋭さも増すと思うぞ?』


 タケルから教えて貰ったことを、鮮明に思い出せ。


「スゥゥゥ……フゥゥゥゥ……」


 ゆっくりと深呼吸して、意識して魔力を均一にする。


『まず大事なのは、緻密な魔力コントロールだ。俺の場合は、剣身に魔力で出来た鞘を纏わせるイメージだ』


 教え通り、ドラムスティックに魔力で出来た__オレの場合は、刃を纏わせるイメージで。

 いつもの魔力刃よりも、鋭い刃が出来てきた。


『ウォレス、それじゃまだ魔力にばらつきがあるぞ? もっと集中集中!』

『ウォレスのは二本だから、かなり大変だよな。それでも、頑張れ!』


 タケルの厳しい指導を思い出して、笑みがこぼれる。


「ったく、分かってるっての。ナメんなよ……オレは、天才ジーニアスなんだからよ!」


 両手のドラムスティックに一体化するように、鋭い魔力刃が出来上がった。

 同時に、ヴィゴーレはクラウチングスタートを取り、オレを睨みつけている。


「__これで終わりだぁぁぁッ! 死ねぇぇぇぇぇぇッ!」


 そして、ヴィゴーレが突進してきた。

 砂嵐サンドストームを巻き起こしながら、真っ直ぐにオレに向かってきている。


 それでも、オレは慌てずに集中力を切らさずに二対の魔力刃を構えた。


『あと、最後にもう一つ。大事なことを教えるぞ?』


 タケルの最後の教えが、頭を過ぎる。

 それを思い出したオレは、ニヤリと笑ってみせた。


『いいか、ウォレス。色々と教えたけど、一番大事なのは__』


 猛スピードで向かってくるヴィゴーレは、もう目と鼻の先だ。

 腕を交差させて魔力刃を構えたオレは、左足を蹴って自分からヴィゴーレに向かっていく。

 そして、タケルの最後の教えが頭ん中を駆け巡った。


『__技名を、叫ぶことだ!』


 右足を踏み込み、短く息を吐いてから交差した腕を一気に開いて二本の魔力刃をヴィゴーレに叩き込む__ッ!


「__<レイ・スラッシュ!>」


 タケルから教えて貰った、レイ・スラッシュ。

 それを二本の魔力刃で放つ、この技の名前は__。


「__<クロスオーバー!>」


 レイ・スラッシュ・クロスオーバー。

 十字クロスって意味と、ジャンルの垣根を乗り越えて音楽性を融合させる意味のクロスオーバーを掛け合わせた、オリジナルのレイ・スラッシュ。

 それを、突進してきたヴィゴーレを真正面から受け止めて放った。


「オ、ラ、アァァァァァァァァァァァァァッ!」

「ぐ、ぬ、お、おぉッ!?」


 衝撃に腕がメキメキと悲鳴を上げる。それどころか、血管が切れて血が噴き出した。

 オレのレイ・スラッシュとヴィゴーレがせめぎ合い、バチバチと火花が散る。

 堪えている足からもブチブチと筋が切れる音が聞こえてきた。


 それでも、オレは負けねぇ。負ける訳には、いかねぇんだよ__ッ!


「__Thisこれで is the endおわりだ!」


 さらに右足を踏み込み、今まで鍛え上げてきた筋肉マッスルをフルスロットルで動かす。

 徐々にヴィゴーレの体が下がっていき、ヴィゴーレの顔が驚愕に染まったのが見えた。


「こ、れ、が……本当の、筋肉の、力だと、言うのか……ッ!」


 オレのレイ・スラッシュを受け止めている、改造によって鍛えられたヴィゴーレの筋肉マッスルが限界を迎える。

 血管が破裂し、皮膚が裂け、筋がブチブチと切れていく。


 そして、オレは渾身の力で魔力刃を振り抜いた。


「__Blastぶっ offとべ!」


 魔力刃を振り抜いた瞬間、魔力が爆発する。

 爆音と轟音に大気が破裂し、闘技場コロシアムが大きく揺れ動いた。

 爆発した魔力に吹き飛ばされたヴィゴーレは、錐揉み回転しながら壁に激突する。


「あ、が……」


 改造によって鍛えられた肉体が割れた風船のようにしぼみ、胸に大きな十字クロスの傷跡が刻まれている。

 砕けた壁の瓦礫に飲み込まれたヴィゴーレは、ピクリとも動かずに__白目を剥いて、気を失っていた。


「__ぷはあぁッ!?」


 魔力刃を振り抜いた体勢でヴィゴーレを睨んでいたオレは、息を大きく吐き出す。

 体力も気力も限界リミットだ。いや、限界突破リミットオーバーだ。

 そのまま背中から倒れ、大の字になって呼吸を整える。


「ゼェ、ハァ、ゼェ……は、はは、ハッハッハッハ!」


 勝った。間違いなく、オレの勝利ビクトリーだ。

 そして、気を失っているヴィゴーレに向かって、はっきりと言ってやる。


「見たか、ど素人アマチュア。大事な仲間との絆、鋼のソウルで作られた筋肉マッスル……それこそが、オレの自慢の肉体ボディだ」


 小さく笑って、最後に言い放つ。


「__筋肉マッスルナメんなよ、貧弱インサブスタンシャル


 これがオレの、筋肉マッスル道だ。

 

 言いたいこと言って、スッキリした。

 ふぅ、と一息吐くと、額の傷からピューッと血が噴き出す。


「おっと、これはヤバいな……」


 ダメージを受け過ぎた。血を流し過ぎた。


 でも、勝ったぜこの野郎。


 フッとブレーカーが落ちたみてぇに視界が真っ暗になると、オレの意識が途切れた。

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漂流ロックバンドの異世界ライブ!〜このくだらない戦争に音楽を〜 桜餅爆ぜる @sakramoti

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