今年もその日がやってくる

 八月の終わり。婚約者と実家に帰省した主人公はたったひとり、廃線になった駅の草を刈っている。いったいなぜ……?

 照りつける太陽。セミの鳴き声。主人公の過去。寄り添う婚約者。夏の終わりの情景と、それぞれの想いが切なくもやさしい物語です。

 たった一夜にだけあらわれる『キリトリセン』に、重なる心がとてもあたたかい。清らかな風に包まれるような余韻も素敵でした。

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