慣れって怖い
うーん…。つまらん。
「どうしたのよ?万」
俺達は今、落ち葉を掃除している。
正確には、散った桜を掃除している。
時期的には入学式の後だからな。桜が沢山散っているのだ。
真照が学校の先生に、
「何か手伝う事は有りませんか?」
と言った結果だ。
めんどくさいが、俺が真照の部活に入ると言ったのだから文句は言えない。
「めんどくさいのよね?わかるわ」
未だ桜がちらちら散っている。
あ、桜が真照の頭の上にの…らなかった!
弾いた!真照の頭の上の小さなアホ毛が思いっきり桜の花びらを弾いた!
「どうしたのよ?さっきからずっとあたしのほうを見て?」
「ああ、いや…ナンデモアリマセン」
この事は真照に伝えて良いのだろうか?
まるで真照のアホ毛が『伝えるなよ!』とでも言う様に震えている。威嚇されている気分だ。
真照のアホ毛は一種のクリーチャーか何かだろうか。
「もしかして、あたしの事…好きになっちゃったとか?」
「それは無い」
「否定が速い!もう少し悩んで欲しかったわ…」
知らんな。
「まぁ良いわ。ところで万、部活に誘えそうな人で誰か良い人いないかしら?」
うーん…そうだな…。
「俺の従兄妹がいるぞ」
「え?万の従兄妹もこの学校にいるの?」
「ああ、だが多分この部活に入らないと思う」
「聞いてみないと分からないわよ?」
真照が目を輝かせながら詰め寄ってくる。
迫力満点だ。
「そうなんだが…。従兄妹の俺ですら会うのが難しくてな…。基本あっちからやって来る時しか話せないな」
「もしかして、偉い人とか?」
うーん、違うな。
「従兄妹は地位とか名誉とか嫌いだから、偉くはないぞ。ただ頭が良くて、色々な人から勧誘が激しくてな。逃げ回っているだけだ」
「逃げ回っている!?誰から!?」
「スパイとか」
「すぱいとか!?」
確かに驚く様な事かもしれないが…。もう慣れたな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます