フラグの恐怖



今日は特に依頼も無かったので、兼ねてから真照が行きたがっていた所に行く事になった。


その名もズバリ!『ゲーセン』である!


☆☆☆


「へー!此処がゲームセンターと言う所なのね!初めて来たわ!」

「初めてなのか?」


まるでお嬢様だな。…ん?何かフラグが立った様な気がしたが…。気の所為だな!


「そうよ!一度来てみたかったのよ!」


真照のワクワク具合は遠足前の小学生並みである。


「とても騒がしい所なのね。キラキラして眩しいわ」

「直ぐに慣れるだろ。真照はどれをやりたいんだ?」

「うーん、そうねー。あ!あれが良いわ!」


そう言って真照が指差したのは、設置型のマ○オ○ートだった。


「アレはレースゲームの再現なのよね?アレならあたしでも出来そうな気がするわ!」

「そうか?結構難しいぞ?」


果たしてゲーム初心者の真照がクリア出来るだろうか?


設置されていた奴は丁度2台だった。お金を入れて始まるのを待つ。


コースが決まり、目の前に『3』という数字が出る。


『2』。この時にアクセルを踏むと走り始める時に速くなる。


『1』。真照の方を見ると緊張しているのが分かる。しかも緊張し過ぎで空気が殺伐としているんだが…。回りの奴がどよめいている。心なしか『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…』という文字が見える気がする。


『GO!』の合図と共に走りだす。


良し。スタートはまずまずだな。3位だ。


途中でカーブしたり、NPCを抜いたりして今は1位だ。


このままゴールまでーーん?


俺の順位が2位になる。


何があったんだ!?と前を見ると、そこにはバックで進む世界一有名な配管工が…。


「!?」


何だこいつ!?動きがキモい!


こんな事出来るのはプレイヤー位なモノだ。俺は世界一有名な配管工の弟でプレイしているから俺じゃない!ここから導かれる結論は…。


「真照!?」


思わず真照のプレイ画面を見ると、変態的な動きをする世界一有名な配管工の姿があった。バックで進んでいる。


当の本人は「あら?景色が逆さに流れて行くわね?」とか「アクセルとブレーキはどっちなのかしら?」とボヤいている。おばあちゃんか?


この順位のままゴールした。謎の敗北感を覚えた。


☆☆☆


「いやー、楽しかったわね!」

「凄かったな」


真照のプレイが。うん。逆に凄いよ。


「あたし、次はアレがやりたいわ!」


と言って真照が近づいたのはーー。


「太古の達人よ!」


うん。さっきから冷や汗が止まらないのは何でなんだろうな?


「これは大昔にあったゲームを復活させたものらしいわ!ネットに書いてあったのよ!」

「お、おう。そうか…」

「?如何したのよ万。元気無いわね?」


真照が心配そうに俺の顔を見ていたが、俺は別の意味で心配だ。


このゲームは設置してある太鼓をリズムに合わせて叩くゲームだ。


目に海苔が貼っついたキャラクターが俺達を案内している。モザイクにも見えるな。


真照は最近有名になって来た歌手の歌を選んだ様だ。確か歌手名は…舞神まいがみウズメだったかな?


そんな事考えている内に曲は終わった。


「もう一回遊べるボン!」


とゲームの中のキャラクターが叫んでいた。


☆☆☆


「凄く楽しいわ!あら?あれは…?」


真照が見ているのはクレーンゲームだ。


「透明な箱の中にぬいぐるみが入っているわね…。何なのかしら?」

「ああ、それはクレーンゲームっていう奴だ。クレーンをボタンで操作して中に入っている奴を取るんだ」


真照は感心している様だ。


「へぇ、そんなのも有るのね。あ、あのぬいぐるみ可愛い…」


おいやめろ。俺の方をチラッ、チラッて見てくるんじゃ無い。


…はぁ。


「分かったよ。だからこっちをチラチラ見て来るんじゃ無い」

「やったわ!ありがとう、万!」

「あっ!?」


真照が嬉しさのあまり抱きついて来た!!


「あ、あら?ごめんなさい」


不意打ちを食らったのでよろけてしまった。遠くから見たら真照が俺にタックルして来た様に見えるかもしれない。


「それで?どれが欲しいんだ?」

「…ブレないわね」

「別に体はもろく無いからな」

「そう言う事じゃ無いわよ」


何だ?真照が急に不機嫌になってしまった。


「アレよ、アレ」


そう言って真照が指差したのは、白色の犬のぬいぐるみだった。所々水色と赤色があり、狛犬みたいだ。その横にも黒い狛犬みたいなのがいた。こっちは所々白色だ。


「どっちが欲しいんだ?」

「白い方が欲しいわ!あたし白が好きなのよ」

「分かった」


俺の腕を見せてやる!


お金を入れる。軽快な音楽が鳴り響く中、クレーンは進んで行く。


「良し…ここだな」


決定ボタンを押してクレーンを下げていく。


「あら?外れちゃったじゃ無い?」

「まだだ」


確かにぱっと見は外れた様に見えるかもしれない。


しかし!問題はこの後!


外れたかに見えたクレーンが…タグに引っかかった!


「な、なんだってー!?」


真照の驚きを無視し、クレーンは順調に運んでいく。そしてーー。


「やったわ!」


ねんがんの ぬいぐるみ を てにいれた!


「結構簡単そうね。あたしもやってみようかしら」


と、真照が黒い方を取ろうとしたが、


「あら?難しいわね…」


取れなかった。感心した様に真照が


「万って凄いのね。意外だわ」


と言った。言葉の端に俺をバカにするような意味が含まれていたような気がしたが無視する事にした。


「それにしても…。真照ってお嬢様みたいだな」


高飛車だし、ゲーセンに行くのも初めてだったみたいだし…。


「あら?万、あたしお嬢様よ?」

「…はい?もう一回」

「あたし、お嬢様よ?」

「……」

「……」

「はぁぁあああああ!?」


はい!?ちょっと待って!?


「日神財閥に聞き覚えは?」

「…ある」


説明しよう!日神財閥とは財閥の1グループの事で、現在は家電製品を扱っているのだ!最近はIT系にも手を伸ばしているらしいぞ!


…フラグ回収したな。


最近は驚く事が多すぎる。少し休みが欲しい…。

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