あとがき 及びネタバレ登場人物紹介

 ついに最後まで、守恒の言う“モブ”が何なのかはよく分かりませんでした。


 書きながら「こういうことかな」と分かった様な気にはなっても、書き続けると、「いや、やっぱり芯を外してる」となります。


 だんだん、きっと、それでいいんだと思えてきました。なので、地の文で「モブとは~」みたいなことを書くのはやめて、読んだ人に丸投げすることにしました。


 個人的には、守恒というキャラクターに、随分励まされました。


 誰もできないことを平然とやる男ではありません。内心では結構びくつきながら、誰もがやりたいと思ってなかなか踏み出せないことをやる奴です。そうやって生きてみたいと思える主人公にしたつもりです。


 わざわざ書いたりはしませんが、今回も、書き上げてみて、多くの学びと反省がありました。


『勇者狩り』なんてけったいなタイトルの作品の次に、またけったいなタイトルのラブコメみたいな何かを書いて、一体何の学びがあったのかと思われそうですが、あったのです。この経験を糧に、次回はまた異世界に行ってやろうかと思ってます。


 一つだけ、挑戦したことを挙げると、学園ラブコメの体を取りながら、たくさんの“大人”を出しました。


 親のように。兄のように。教師のように。また反面教師のように。主人公を導く大人が勢ぞろいするラブコメディ。


 ある意味自分らしい、非常に地味な挑戦です。いかがだったでしょうか。


 最後に、ここまで元気に跳ねまわってくれたキャラクターの紹介をして終わりにします。



すみ守恒もりつね

 過去史上例を見ない、空前絶後のモブヘイター。「こいつは何を考えてるんだ」と、誰よりも作者を惑わしながら、良い声の魅力一本で将来有望な年上彼女を口説き落とした漢。悔しいので、“お化け”は憑りついたままにしておいた。また会おうじゃないか、歴史的ラブコメ野郎。


坂ノ上さかのうえ咲久さく

 会いたくて会えなくて震えず奮える元サッカーロボットな星飛雄馬系アスリート女子。県大会決勝、十四得点無失点の虐殺スコアは伝説。

 初キスから、一週間ちょっと年下彼氏に会えない鬱憤うっぷんが、類稀たぐいまれなるサッカーの才能を開花させ、日本を再びW杯チャンピオンへと導くのはまた別の話。返す返すも、ラブコメヒロインに収まっておくには惜しい人材である。


倉本くらもと一奈かずな

 百合とセクハラと下ネタで暴れ回った作中屈指の女傑。恋人の薬利くずり真緒まおとは末永く幸せに暮らしたが、その道果てなくまた険しく、詳しく書けば陽がまた上る。ほかの女と浮名を流し、刃傷沙汰になりかけたかもしれない。どっかで番外編を書きたいと画策している最中である。


貝塚かいづか絵斗那えとな

 心に日の丸をはためかせる、護国精神あふれる男装の少女として設定したが、作者の七転八倒な作風の犠牲に遭い、日々ネットの荒波でレスバトルを続けるアホの子になった。

 とはいえ、守恒に勇気を出して告白して、最後にはそのネット弁慶ぶりが咲久捜索の鍵となった。面目は保った……はず。


〇ラン

 第三コーナーから馬群を抜け出してヒロインレースのトップに躍り出る活躍だったが、第四コーナーで大ブレーキ。やはり一年がかりのフラグ建立には敵わなかったか。しかし、政権を奪取した祖父が東亜の国家元首となった暁には、再び海をまたいだ正妻戦争を引き起こす可能性も残されている。


涼風すずか・シューメイカー

 ヒロインの一人ではあるものの、物語開始時点から最後まで、守恒の妹枠をガッチリつかんで離さなかった影の勝者。戦い方は一つではないことを彼女から学んだ。


〇倉本一馬かずま

 ヒロインの一人ではあるものの、物語開始時点から最後まで、守恒の親友枠をガッチリつかんで離さなかった、また異なる意味での勝者。ヒロインの定義もまた一つではないことを彼から学んだ。


氷月ひづき

 不思議事件の解説役として登場した、本作者の作品には何らかの形で登場している謎少なき謎の男。本作はアクションではないので、敵の襲撃時にはイーサン・ハントとジェームズ・ボンドを足して二で割った戦闘力の彼を矢面に立たせて露払いをさせた。また頼むぞ。


〇サブ

 作者の別作品の主人公で、守恒の伴奏者が必要なのと、丁度いい兄貴分だと思って出した。彼が主役の作品『リリリリ-Re:Re:Re:Re:-』もよろしくお願いします。


〇そのほか愉快な大人たち

 日本で暮らす外国人。独裁国家の反逆ジジイ。ダメ親父。色んな年長者の影響を受けて、人は育っていくものだと思う。きっとそれが“モブ”にならない一番の薬なのだ。



2020年1月16日(2020年1月31日 加筆修正)


祖父江直人

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出張れ!歌え!モブレイヴ!! 祖父江直人 @naotosobue

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