第4話 次の日

 次の日、ライブハウスに行った。倫太朗くんは用事があって遅れて来るらしい。

 どんな顔して会えばいいのだろう。ちょっと恥ずかしい。

 美沙子にはもちろん報告済みだ。美沙子は喜んでくれた。

 美沙子の彼氏の翔くんも、喜んでくれているらしい。


「そういや圭、きのう失恋したらしいよ。どうりで来てないはずだね」美沙子が急に云った。


「え、誰に?」私はすかさず聞いた。


 美沙子は順に、話してくれた。


「きのう倫太朗が、『亜水に告ってもしフラれたら慰めてほしい』って、翔と圭を待機させていたのよ」


 私たちも、そういう経験はある。友達が先輩に告白する時、待っててほしいというアレだ。


「倫太朗って結構純情タイプじゃない? 今時直接告白するなんて」美沙子は、笑っているようなそうでないような表情で喋っている。


「亜水にOK貰ってルンルンで帰宅した倫太朗は、翔と圭に報告。二人とも喜んでいたらしいけれど……」美沙子の表情が、曇ってきた。


「倫太朗の所から二人で帰っている時、圭は翔に云ってきたらしいの」美沙子の視線が、急にこちらを向いた。

 どきん、と音が聞こえた気がした。


「圭はね、亜水に失恋したのよ」美沙子の瞳が大きく見開いて、私を見た。


「嘘でしょ……」私はそう発していた。


「圭は誰にでも同じトーンで話すらしいからね、翔も全然知らなかったって」美沙子は少し、困ったような顔で云った。


「翔がね、圭に『何で黙ってたの?』って聞いたら」美沙子は少し哀しそうな顔になっていた。


「女目当てでライブハウスに行っていると思われるのが嫌だからって、一言だけ」美沙子はもう、元の表情に戻っている。


「本当、何考えてるか解んないね」美沙子は空を見つめて云った。


「……亜水? 亜水?」美沙子が私の名前を読んでいる。


 私もきのう、失恋をした。

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ふんわり女とすっきり男 青山えむ @seenaemu

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