形勢逆転の過程が心地良い

恵まれない生まれの一人の男シャルルは、王女の婚約者で宰相の息子である青年フィリップを誘拐する。
身代金を要求するシャルルはフィリップと会話をするのだが……。

貧しい生活に疲れやさぐれ果てたシャルルを、少しずつ巧みに言葉で翻弄していくフィリップが大変魅力的でした。

懐柔されまいとするシャルル。
けれど彼の抱える闇の解決方法はフィリップにとっては単純なもので、小さな駒を手のひらで転がすように彼の心を確実に掴んでいく。

とにかく言葉運びが秀逸で、あっという間に一気読みしてしまいました。