エステール・ルカヴァリエ


※このページでは、所謂ネタバレの要素が多分に含まれています。

 まだ本編をご覧になられていない読者様は、どうかご注意ください。


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【キャラクター紹介】

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■エステール


初登場話:第78話


【本名】

エステール・ルカヴァリエ(Estelle Lecavelier)


【愛称】

ステラ


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【年齢】

18歳


【出身】

フィルモワール王国 ドルヴォア地域 モニスドゥール村


【身分】

シャルレーヌの専属侍女

ボワモルティエ家別邸の執事


【髪色と髪型】

濡羽色をした長めの姫カット


【瞳の色】

艶やかなすみれ


【身長と体重】※現実世界の単位に換算

157 (cm)、45(kg)


【使用武器】

岩貫きトローシェ(長槍)


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【特技】

体術を組み入れたベルナール流槍術

珠算と高速暗算

全身按摩


【趣味】

料理、裁縫、読書、演劇鑑賞、釣り


【好きなもの】

お風呂、お掃除、お洗濯


【苦手なもの】

故郷を想起させる乾いた風景

シャルレーヌの父親


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【概要】


シャルレーヌ専属の侍女であることに加え、現在は彼女が住むボワモルティエの別邸において執事の役を担っている少女。幼い頃から同家で使用人として仕えていたため、様々な家事も的確にこなすことが出来る。


体術を多く組み入れたベルナール流槍術に深く通じており、極めて高い戦闘能力を持つ。槍を自らの主武器として選んだのは剣を扱うシャルレーヌよりも幅広い闘圏を確保するためで、彼女の戦闘における補佐と警護を行うために日々鍛錬を欠かさないようにしてきた。


地獄のような毎日から自分のことを救い出してくれたシャルレーヌのことを心から深く慕っており、かつてシャルレーヌが自ら失踪した際にも、過去の記憶を手繰り寄せてその居場所を推測し、誰よりも先に彼女を発見出来たのはエステールだった。


ある時、シャルレーヌが心の迷いからその周囲に自らが後援している少女たちを侍らせ、エステールが執事を務める別邸に招き入れて住まわせていた頃にも、彼女の行動に一切の口を挟むことなく、あくまで献身的に尽くし続けた。


メルセデスたちと接するようになってからは、そんなシャルレーヌも以前の自分らしさを取り戻し、また彼女から長く秘めてきたであろう想いと労いの言葉をかけられたことで、シャルレーヌとより深い仲となり、かつて彼女の父親に禁じられた、愛称での呼び合いを再び行うようにもなって、何気ない毎日を幸せに感じている。



【使用武器について】


錬金術で創製されるアダマンタイトなる超硬度金属を穂にした、岩貫き(トローシェ)と呼ばれる長大な戦槍を愛用しており、極めて広い攻撃範囲を誇っている。


また、エステールは魔導の資質も持ち合わせているため、魔導体となって太陽の如き煌きを放つアダマンタイトの穂は、凄まじい貫通能力と切断能力を示し、実際にそれは文字通りに岩を貫き、そしてその穂に木の葉が触れていっただけで、葉がそのまま二つに分かれてしまうほどの切れ味を発揮するという。


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■エステールに纏わる対人関係


【シャルレーヌとの関係】


エステールにとってシャルレーヌは己が仕えるべき主人であり、本来であれば完全な主従関係であるものの、この二人に限っては常に家族のような心の距離感で物事を話し合い、そして現在ではお互いにお互いを必要とする深い間柄となっている。


またシャルレーヌに対しては、自らが幼い頃に歩んでいた過酷な境遇から、穏やかな光の差す場所へと連れ出してくれた命の恩人であると共に、彼女自身が極めて高潔な人物で、誉れある自らの家名に傷がつかないよう常に高みを目指し、人の上に立ち続けるための努力を惜しまないその姿勢にも、深い尊敬の念を胸に抱いている。


なお、シャルレーヌは公務で国内外を問わず忙しく動き回っているが、エステールもそんな彼女の補佐を行うために視察などには可能な限り同行し、滞在先で疲弊したシャルレーヌに特別な全身按摩を施したり、想いを込めた手料理を振る舞ったりするなど、彼女が少しでも長く心地よい時間を過ごせるようにと、いつ何時でも配慮を惜しまないよう心がけている。


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【メルセデスたちと出会うまでの詳細な来歴】※ネタバレ要注意


◆誕生~ボワモルティエ家に仕えるまで


かつてフィルモワールの王政庁が主導した鉱山事業において特に栄えていた、ドルヴォア地域にある、モニスドゥールという村でエステールは生まれた。


しかしある時に気候変動によって生じた洪水によって大規模な鉱毒の流出が起こった際、それが原因と思われる病で幼くして母を亡くすこととなり、さらにそれ以後酒に溺れるようになった父からは、身売り同然で丁稚奉公でっちぼうこうに出された。


奉公先の商家では日々奴隷のように使役され、ある時に極度の疲労から朦朧もうろうとした状態で街道をふらついていたところに、当時視察に出ていたシャルレーヌたちが乗った馬車が現れて危うく衝突しそうになったが大事には至らず、さらにその際にシャルレーヌと出会ったことで彼女の人生は大きな変化を迎えることとなった。


シャルレーヌからの嘆願を受けた彼女の母、セレスティーヌの働きかけにより、奉公先の商家と、彼女の父親による支配から解放されたエステールは、オーベルレイユ地域圏の西にある児童養護施設、アン=デュ=ルヴレ救児院に保護された。


その後、エステールの身を案じたシャルレーヌから幾度にも渡る面会訪問を経て、やがて彼女はシャルレーヌの身の回りのお世話を担う侍女の一人として、誉れ高き侯爵家であるボワモルティエの家に召し抱えられることとなった。


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◆失踪したシャルレーヌの保護~シャルレーヌのお目付け役になるまで


屋敷に住み込みで仕えるようになったのはいいものの、エステールはそれまで十分な教育を施されていなかったために、簡単な文字の読み書きなどにも不自由しており、それは侍女としての職務にも支障が出ると判断されかねないほどだった。


しかし、自分にまたとない機会を与え、屋敷に招き入れてくれたシャルレーヌの期待を決して裏切ってはならないと考えたエステールは、必死の思いで文字の読み書きを始めとした基本的な学習に励んだ。


シャルレーヌについている家庭教師や彼女自身からの手助けもあり、いつしかエステールは、シャルレーヌの通う『サント・ペトリエール魔術女学院』の門を潜るに値するほどの極めて高度な学力を身に付けるにまで至った。


また幼い頃に商家で酷使されていた経験からか、暗算を始めとした計算能力に対しては極めて優れた才覚を示し、さらに家庭教師から珠算を学んでからは、シャルレーヌが行った計算の誤りを逆に指摘して、訂正するほどまでに成長した。


そんな中シャルレーヌが、学院の遠征合宿に向かうための列車が出ている駅での目撃を最後に消息を絶つという、失踪事件が発生。


ただちに捜索隊が編成され、彼女の足取りを追うための活動が開始されたが、何故か彼女の自室に異臭を放つ缶詰の魚が無造作にばらまかれていたり、自宅を始めとした行動範囲内に必ず残っているはずの彼女の匂いが消されていたりと、早い段階で何者かによる妨害工作が疑われた。


それにより捜索活動に使われる探知犬が上手く機能せず、屋敷の内部事情に詳しい者たちによる誘拐の可能性も出たことで、事態は深刻化の一途を辿っていったが、シャルレーヌの行方はようとして知れず、屋敷は物々しい雰囲気に包まれていた。


そんな中、シャルレーヌが自分の意思で失踪したのではないかと考えたエステールは、彼女との思い出を辿る中で唯一、まだ捜索先の候補にはなっていなかった、モン・クウェイルの山頂付近にある湖畔の別荘の存在を思い出し、念のためにその身一つで訪れたところ、荘内の画室バルコニーの欄干から落ちようとしていた彼女の姿を見つけ、寸でのところで救出に成功したのだった。


騒動の後、シャルレーヌを無事に保護した功績を彼女の両親から称えられ、エステールはシャルレーヌについていた侍女の中で、筆頭格に位置する専属侍女へと昇格すると共に、今後彼女が勝手な行動をとらないよう、その監視と警護を担うお目付け役を申し付けられることとなった。


加えて、シャルレーヌが通っている『サント・ペトリエール魔術女学院』の適性検査を受けることが許可され、幸いにも魔導の資質を有していた彼女は見事に各種検査と考査を突破し、密かに抱いていた彼女と通学するという夢を実現するに至った。


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◆シャルレーヌの変容~メルセデスたちとの接触まで


エステールがシャルレーヌと共に女学院を卒業する頃になると、シャルレーヌのもとには国内外を問わず、毎日のように名士からの求婚が舞い込むようになるが、彼女はそれを相手にすることなく、どういう風の吹き回しか、国内で芸術家や音楽家の道を志す少女たちの後援活動を行う新事業を突如として開始した。


それに伴い、シャルレーヌは自身の活動拠点を芸術の都として名高いグランフィリエから、敢えて自由の都と謳われている王都オーベルレイユへと移し、同地域にもともと存在していた別邸に住むようになり、エステールはそこで彼女から執事としての役目を新たに申し付けられるようになった。


何がシャルレーヌをそうさせたのかは判然としないままだったが、何かしらの意図があると考えたエステールは、親元から離れて独立しようとしていた彼女を献身的に支えることを決意し、シャルレーヌが才能の卵と称する少女たちを突然屋敷に招き入れるようになってからも、彼女に意見することなく自身の役目に徹し続けた。


やがて多くの少女たちを周囲に侍らせ、国内を周遊するようになったシャルレーヌに同行していたある時、シャルレーヌが偶発的な水難事故からの救助というかたちでメルセデスたちと出会い、さらに彼女たちを自らの屋敷に招待したことで、屋敷の執事であるエステールもメルセデスたちと必然的に接触することになった。


そしてこの時の接触が、シャルレーヌとエステールとの間にいつのまにか出来てしまっていた溝を埋め、貴人としてあるべき姿を保ち続けなくてはならない義務感を背負いながら、自分の積み重ねてきた努力の結果を何一つ褒めてくれなかった父親への反抗心が芽生えたことで、すっかりと変容してしまっていたシャルレーヌの心と精神に、本来の姿を取り戻させるきっかけとなるのであった。


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【設定資料】貴族令嬢なんて、辞めてやりましたわ! 綾野 れん @pianeige

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