炎が作る花の音で距離を測って。

 ぱっと開いた火の花から、遅れた音がドンと鳴る。その刹那の輝きと、雰囲気が主人公の立場を如実に表していた。
 花火とその音の時差。その距離。それが君と主人公の距離と時差、だと思っていた。君にはきっと好きな奴がいる。アイツといつも楽しそうにしている君を、主人公は何度も見かけた。だから、今年の花火が最後になる予感がしていた。
 しかし君は主人公に思いがけない事を言った。

 暗闇から花火の光に照らされ、一瞬影絵になる人々。
 そんな中に、紛れた二人。
 誰もが花火を楽しみ、見つめる時に、二人が見つめていたもの――。

 情景豊かで、この夏にぴったりな作品です。

 是非、御一読下さい。

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