その国における、「人を食べる」ということ。

文化人類学を志すイオは、未知なる文明の国に現地調査へ赴く。
そこでは、食人の文化が色濃く残っていた――。

素晴らしい。
本当に素晴らしい。

SFやファンタジーを書くのであれば、文化人類学は学びなさいと、とある編集者が言っていたことを思い出します。
自分たちとはちがう環境や常識で生きている人びとは、無知や野蛮なのではなく、ただただ文化がちがう。その文化がどうちがうのか、どのような宗教形態を持っていてどのように思考し、どのような事柄が生活様式を形作るのか。
これらをきちっと詰めている物語は骨太で面白い。
この物語は、まさにそれをひたすらに極めたお話です。

もうほんと、読んで!
はじめはちょっと小難しい単語が並んで「えっ!」って思うかもしれないけど、大丈夫だから! ちゃんと2話とか3話からふつうにお話進むから! 怖くないから! 怯えていただけなんだよね?!

物語を書く人間にとってはたいへんに勉強になるし、でなくともふつうに面白いです。まるでル=グウィンを読んでいるかのような重厚感。最後まで読み切ったときの、あえて言おう、美味しいものを食べた、満腹感。

この感動を、ぜひあなたにも。

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