第5話 事の結末
—1—
【衝撃の事実!】
【ミソラちゃんがストーカー被害に遭ってただなんて】
【豚の勇者とか草通り越して森www】
【森通り越してアマゾンwwwww】
【勇者って自分が英雄かなにかだと勘違いしてんのか?】
【おいお前ら住所特定したぞ!】
【アップよろ】
【
【おっさんじゃねーか】
【いい年こいたおっさんが女子高生に何してんだよ】
【ミソラちゃん大丈夫?】
【ミソラちゃんには俺たちがついてるから安心してな】
【風呂入るんで落ちまーす】
私は視聴者に全てを話した。
生放送を開始した頃にはちょいちょい私のアンチコメントが見られたが、今はターゲットが豚の勇者に向いたためピタッと無くなった。
その代わりにコメント欄がどんどん過激化していた。
豚の勇者の住所特定から始まり、本名、年齢、職場先、家族構成などなど。本当か嘘か分からない情報がばんばん飛び交う。
全てを話してスッキリしたのは一瞬の出来事で盛り上がっていくコメント欄に恐怖を感じていた。
【今、郷田の家に電話かけてみたら出たぞ。即切りされたけどな】
【住所は合ってるみたいだな】
【ミソラちゃんに怖い思いさせたらどうなるかってことを思い知らせるか】
【俺、家近いっぽいから突撃して来ようか?】
【さすがにそれはやり過ぎだろ】
【行ったれ行ったれ!】
【逮捕されても知らんぞ】
【報告プリーズ】
『ちょ、ちょっと皆ストップストップ!』
【突撃する奴、郷田の写真撮ってきてくれ】
【SNSに拡散だな】
【ミソラちゃん、SNSに出回ってる画像がフェイク画像だって投稿してきたよ】
【いいね。よーし、拡散しに行かせてもらうわ】
暴走する視聴者。
私のチャンネルの生放送なのにもう私には
『ごめん、時間なので今日の生放送はこの辺りで終わりにします! 来てくれた皆ありがとうございました。それではまた次の動画でお会いしましょう! 以上、ミソラチャンネルでした! バイバイ』
これ以上どうしようもなかったので強制的に放送を終了した。
「はあー……」
無意識に大きなため息が出た。
静かな部屋に鳴り響くスマホの通知音。
テーブルの上に置いていたスマホを手に取ってベッドの上に腰を下ろした。
【ネットの使い方も分からない奴がネットを使うな】
SNSの『豚の勇者11』というアカウントからダイレクトメッセージが届いていた。
【電話が鳴りやまないからコンセントを抜いた】
【SNSのアカウントにも知らない奴からダイレクトメッセージが届き続けてる。通知が止まらない】
【
「やめさせろって言われても無理だよ」
私にはやめさせる方法がない。
【窓が割られた。さっきより何人か増えたみたいだ】
【俺は勇者だ。ネットの怖さを知らない奴に一歩間違えればこうなるという可能性を示しただけだ】
【俺は間違っていたのか?】
【ミソラチャンネル、
豚の勇者、郷田信行からのメッセージはそれ以降届くことが無かった。
—2—
翌朝。昨夜は色々あってほとんど眠りにつけなかった。
眠い目を擦って1階に下り、家族3人でテーブルを囲む。
「いただきます」
「美空、具合悪いの治った?」
「うん、だいぶ良くなったかな」
「そう、ならよかった」
お母さんが安心した顔で味噌汁をすすった。
『次のニュースです。昨夜、市内に住む
「SNSでトラブルって怖いわねー。実空もSNSやってるんでしょ? 気を付けなさいよ」
「う、うん」
豚の勇者が殺された?
私の視聴者に?
心臓がバクバクと音を立てている。
隣に座るお母さんに聞こえていないだろうか。
「どうした実空。顔が青いぞ。まだ具合悪いんじゃないのか?」
向かいに座るお父さんが目を細めて私の顔をジッと見つめた。
「まだ少しだけ寒気がするかな」
「そうか。なら今日1日寝てなさい」
私はお父さんに「分かった」と言って席を立った。
すると、このタイミングでチャイムが鳴った。
「こんな早くに誰だ?」
私と両親の視線がドアホンに集まる。
そこには2人の警察官の姿が映っていた。
「おはようございます。
「は、はい……」
ネットストーカーは突然に——完結。
ネットストーカーは突然に 丹野海里 @kairi_tanno
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